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AR(拡張現実)とは?パソコン初心者でも5分でわかるAR!~意味や概要から仕組み・作り方、事例までご紹介


 

本記事ではARの基礎知識としてARとは何なのか、意味や仕組み、VR・MR等との違い、作り方、事例等をご紹介します。ARとは、Augmented Realityの略で、日本語では拡張現実を意味します。ARは画像や空間、位置で現実世界の情報を認識し、バーチャルの情報を現実世界に重ね合わせて表示することで、現実を拡張する技術です。

目次

1.「AR:拡張現実」とは

ARとは、「Augmented Reality」の略で、日本語では「拡張現実」と訳されます。

ARは、景色や本などの現実世界のものにコンピュータで情報を加える技術です。デバイス(ARスマートグラスやスマートフォンなど)画面上のあなたが見ている景色や本といった現実に、現実には存在しないデジタルコンテンツ(動画や画像、3Dキャラクターなど)を、+αとして表示することで、現実を拡張します。

ARの使用イメージ

ARを使えば、現実世界にないものをまるで存在しているかのように体験することができます。最近では、「Pokémon GO」で、多くの人がまるで現実世界にポケモンがいるかのようなゲーム体験をしましたし、カメラアプリ「SNOW」では、自分の顔に眼鏡や動物の耳がついているような写真を撮り、現実とは違った自分を体験しました。このようなアプリの人気により、ARには非日常的な楽しさや驚きを提供するイメージが広く定着しましたが、それはARの使い方の1つの側面にすぎません。

例えば、スマートフォンで専用アプリを使ってポスターを読み取ると宣伝動画が流れる技術もARです。ARは本やポスターといった限られたスペースでしか情報を伝えられない媒体で、追加の情報を伝える有効な手段として、日常的に用いられています。


2.AR、VR、MRの違いを知ろう

ARのほかにも、現実世界にないものをあるかのように体験できる技術にVR、MR、SRが存在します。それらは未知数を指す「X」を使ってXRという総称でくくられます。

それでは現在実用化されている、VR、MRについて詳しく確認してみましょう。

●VRとは

VRとは、Virtual Realityの略で、日本語では仮想現実と訳されます。

ARはあなたのいる現実世界にデジタルコンテンツを加える技術ですが、VRは現実とは全く異なる仮想世界に自分がいるように体験させる技術です。VR専用のヘッドセット等を装着し、視覚的に(場合によっては聴覚的にも)現実世界から隔離されることで、現実世界とは違う仮想世界に入り込んだような体験を可能とします。ゲーム世界に入り込んだような体験をするためのほか、現場での訓練が難しい仮設足場を歩くような研修にもVRは用いられています。

VRは「VR ZONE」のようなテーマパークで体験するというだけでなく、人気家庭用ゲーム機「PlayStation」シリーズから「PlayStation VR」が発売されるなど、自宅でも楽しめるようになってきています。

VRで仮想世界を体験する様子

●MRとは

MRとは、Mixed Realityの略で、日本語では複合現実と訳されます。MRはARとVRを組み合わせた技術で、現実世界の位置情報を正確に把握し、現実世界に仮想世界を反映させるので、コンテンツを実物のように見たり触ったりすることができます

ARではデバイス上に表示されていたコンテンツを、MR専用のヘッドセットを装着することで、VRのように現実にあるかのように体験できるのです。例えば、デバイスを装着している複数人で映像を共有することで、会議室の机の上に3Dモデル映像を出現させて、いろいろな角度から眺めたり、近づいて細部を確認したりしながら会議をすることも可能です。また、映像をリアルタイムで表示させることができるので、遠隔地にいる人の映像を同じ部屋を映して、その場で会議しているかのように自然に会議をすることができます。

現在、MRデバイスにはマイクロソフトが提供する「HoloLens」などが商用向けにとどまっていますが、今後の動きとしては一般向けのMRデバイスの発売も予定されています。2019年5月には、中国のnreal社がMRデバイス「nreal light」を2020年に発売することを発表しました。本格的なMRの普及もそう遠くないかもしれません。

MRを使ってオフィスに建物のミニチュアを再現しながら会議をする様子

●ステップアップ:SRとは

SRについては、Substitutional Realityの略で、日本語では代替現実と訳されます。現実の映像に過去の映像を重ねることで、過去に起きた出来事をまるで現在起こっているかのように見せ、タイムスリップのような体験ができるというものです。まだ研究中の技術で、これから実用化にむけて期待が高まります。

●比較してみよう

AR、MR、VRの比較表

比較してみると、VRやMRはARよりも非日常体験という意味でインパクトの大きいものとなっていることが分かります。ただ、ARは身近なスマートフォンやゲーム機で体験可能で、企業側も導入しやすいため、活用実績が数多くあります。そのためVRやMRよりもARは生活に溶け込んだ実用的な技術として用いられているといえます。

このように、AR、VRやMRはどれがいいという優劣ではなくではなく、それぞれに特徴があり、用途に合わせて使い分けることで、生活をより豊かで便利なものにしてくれる技術です。

3.ARを体験するにはどうすればいいの?

ARを体験するには、ARスマートグラスやスマートフォンといったデバイスが必要です。

ARスマートグラスの場合は、レンズがディスプレイとなっており、視界にそのままデジタルコンテンツを表示させるAR機能が搭載されています。そのため、、ARスマートグラスをかければすぐにARを体験することができます。どのようなデジタルコンテンツを表示させるかは製品によって異なりますが、製品によっては対応するアプリを追加インストールして様々なAR機能を体験することができます。

ARスマートグラスによるAR体験のイメージ

では、コンピュータと視界を共有していないスマートフォンの場合、どうすればAR体験ができるのでしょうか?

スマートフォンでARを体験するには、デバイスにデジタルコンテンツを表示させる必要があります。そのためには1つ目は専用のアプリをダウロードしてアプリ上で表示させる方法、2つ目はアプリ不要でブラウザ上に表示させる方法です。

スマートフォン上でのARの2つの体験方法

・アプリをダウンロードする場合

アプリに関しては「Pokémon GO」や「SNOW」のように、アプリ自体にARを表示させる機能が付属されている場合もあれば、「COCOAR」のように特定のマーカーを読み取り、デジタルコンテンツを表示させるための専用アプリもあります。

アプリを利用するとデジタルコンテンツを安定して表示できるので、デジタルコンテンツをしっかりと見てもらいたい、アプリをダウンロードできる自宅でのAR体験を想定している、ゲームなどの機能の1つとしてARを使いたいなど、そうした場合にはアプリをダウンロードするARが適しています。

・アプリをダウンロードしない場合

QRコードなどで立ち上げたブラウザ上の専用カメラを使用することで、アプリをダウンロードせずにARを利用することが可能です。このようなARは「Web AR」と呼ばれます。

アプリをダウンロードする手間が省けるため、より気軽にAR体験ができますし、ARを導入する側もアプリダウンロードという障壁をなくすことで、デジタルコンテンツへの接触を増やすことが期待できます。

しかし「Web AR」はアプリをダウンロードする場合に比べて、表示されるデジタルコンテンツが不安定で、表示が途切れ途切れになってしまうことがあります。アプリを使用する場合に比べると、できることに限りがあり、性能面で劣ってしまうのが現状です。

ただし、アプリをダウンロードできない時に手早くデジタルコンテンツを表示させたい際には「ウェブAR」は適しているといえます。例えば、名刺交換時のアイスブレイクとして、「ウェブAR」で名刺の上に流れる自己紹介動画を観てもらうといったことに活用できるでしょう。

ウェブARの仕込まれた名刺のイメージ

4.ARの3つの仕組みと作り方を知ろう

●どうして何もないところからコンテンツが出てくるの?3つの仕組みを知ろう!

では、ARは実際にどのような仕組みでデバイスに動画や画像を出したり、キャラクターを登場させるなどして、現実を拡張しているのでしょうか。 ARの仕組みは現実世界の認識方法によって、「ロケーションベースAR」「ビジョンベースAR」の主に2種類に分けられます。

・ロケーションベースAR

「ロケーションベースAR」はGPSや磁気センサー、加速度センサーから情報を認識し、デジタルコンテンツを表示させるARです。

GPSや磁気センサー、加速度センサーはスマートフォンなどの多くのデバイスに搭載されており、現実世界を認識するための情報が容易に入手できるため、ユーザーは特別なことをしなくても自然とデジタルコンテンツを表示させることができます。ただ、GPSの精度に依存しているので、表示されるコンテンツの場所がずれてしまったり、コンテンツがピンポイントな場所には表示されない場合があることが難点です。

ロケーションベースARの使用イメージ

・ビジョンベースAR

「ビジョンベースAR」は画像や空間・物体の情報を認識して、デジタルコンテンツを表示させるARです。

「ビジョンベースAR」は2種類に分けられ、画像を認識するARを「マーカー型ビジョンベースAR」、空間・物体を認識するARを「マーカーレス型ビジョンベースAR」と呼びます。

「マーカー型ビジョンベースAR」は専用のアプリなどで画像を読み取る作業を経て、デジタルコンテンツをデバイス上に表示させることとなります。この読み取る画像のことをマーカーと呼びます。マーカーの用意が必須ですが、マーカーさえあれば好きな媒体・好きな場所にデジタルコンテンツを表示させることができます。

マーカー型ビジョンベースARの使用イメージ

一方、「マーカーレス型ビジョンベースAR」はマーカーが不要で、専用のアプリなどで空間や物体の情報を認識して、デジタルコンテンツを表示させます。例えば、「人の手」を認識することで、もしもこのマニキュアを塗ったらどうなるか、というシミュレーション結果をスマートフォンに表示可能です。マーカーを用意する必要がないので、スペースや見栄えを変えずにARが導入できますが、空間や物体を認識させるための計算に高度な専門知識が必要なため、技術的な難易度の高いものとなっています。

マーカーレス型ビジョンベースARの使用イメージ

▼AR比較表

AR比較表

●ARを作るにはどうすればいいの?

ちなみに、ARはAR作成会社に依頼すれば作ってもらえますが、実際に自分で作ってみたいという場合は、どのように作ればよいと思いますか?

ARは「Vuforia」や「ARKit」などの専用のソフトウェア、いわば開発キットが各社から提供されているので自分で好きなARを開発することが可能です。ただゲーム開発者やアプリ開発者など専門業者向けで、初心者にはなかなかハードルの高いものとなっています。

そのため、名刺や本、商品パッケージなどのために手軽にARを作りたいといった人に向けて、AR作成ツールを提供している会社もあります。例えば、マーカーとなる画像と表示させたいデジタルコンテンツを自分で用意すれば、5分でARを作ることができるという手軽なサービスもあります。この場合、ゲーム開発などの高度なことはできませんが、簡単なARであればそうしたサービスを利用してARを作成するのも1つの方法です。

5.ARの活用方法~非日常体験から情報伝達手段まで~

ARを活用したい場合、利用用途に応じて、どのようなARを導入するかをそれぞれのメリット・デメリットと照らし合わせながら決めていく必要があります。

例えば、商品を買った人に動画コンテンツを提供したい場合、商品パッケージのイラストをマーカーにすれば良いので「マーカー型ビジョンベースAR」を導入するといったように、目的にあったARを選ぶことがビジネス戦略の1つとなっています。

さらに、複数のARを組み合わせた活用方法もあります。

「ロケーションベースAR」と「マーカーレス型ビジョンベースAR」を組み合わせて、「Pokémon GO」や「Ingress」のような現実世界を舞台としたゲームを作ることもできます。また、「ロケーションベースAR」と「マーカー型ビジョンベースAR」と組み合わせて、画像を特定の場所でしかマーカーとして機能しないように設定することも可能なため、ARを使ったスタンプラリーイベントを行うことも可能です。

ARにできることは、そうした楽しさや驚きを提供するだけにとどまりません。重要視すべき大きな活用メリットは情報を伝える為の有効な手段になるという点です

例えば、料理のレシピ本に掲載されてる写真にスマートフォンで専用アプリをかざすと、スマートフォン上に料理を作っている動画が再生されるなど、本だけでは伝わらない情報を追加で提供することができます。

また、提供する情報がデジタルコンテンツのため、内容を必要に応じて差し替えることが出来ます。例えば、ライブのチケットにARマーカーを仕込み、ライブ前にはバンドの紹介動画を、ライブ後には来場お礼メッセージ動画を配信するような情報伝達が可能です。

情報を伝える為の有効な手段としてのAR/産業現場での活用イメージ

ほかにも物流や建設など産業の現場で業務効率を上げるために用いられたり、企業が顧客に商品やサービスをアピールしたり、自治体が観光に活用するなど様々な場面で活用されているのです。

6.ARアプリ事例紹介~くらしに溶け込むAR~

お手持ちのスマートフォンで体験できる、ARを使った事例を2つ紹介したいと思います。

①AR×住まい

賃貸・不動産物件探し用アプリ「LIFULL HOME’S」

株式会社LIFULLの提供する賃貸・不動産物件探し用アプリ「LIFULL HOME’S」は物件情報を検索したり、不動産会社への連絡できるなど住まい探しをサポートするアプリです。そこに、ARを活用することでより便利に、自分に合った住まいを探す方法を提案しています。

ARを使ったアプリの機能は2つです。1つ目は、街を歩きながら、気になる物件やお店にスマートフォンをかざすと、画面上に物件情報やお店の情報が表示される「かざして検索」と呼ばれるAR機能です。住みたい街を散歩しながら、空室状況や気になるお店を確認できる新しい住まい探しを実現しました。

アプリ「LIFULL HOME’S」の「かざして検索」機能イメージ

出典:不動産売買・賃貸・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」

2つ目は、内見先の部屋でiPhoneのカメラをかざすと、自動的に壁の長さや窓の高さといった部屋の計測をしてくれるARで間取りが作成できる機能です。内見時のメジャーで壁から壁まで測ってメモして…という面倒な作業をARによってiPhoneをかざすだけへと簡略化に成功しました。(iPhone/iPadにてiOS11.3以上のARKit対応端末にて利用可)

アプリ「LIFULL HOME’S」のAR間取り作成機能イメージ

出典:不動産売買・賃貸・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」

住まいに関連して、家具を部屋に設置するシミュレーションができるARも実用化されています。例えば、家具量販店のIKEAのアプリ「IKEA Place」ではすべての商品に関して、カメラでかざされた部屋の大きさに合わせて自動で商品の大きさを調整し、画面上の部屋に3Dで表示することができます。これにより、希望する部屋へのイメージとマッチする家具を手軽に選ぶことができる新しい家具の買い方を提供しました。

②AR×パッケージ・商品

「グリコ ポッキー」と「キリン 午後の紅茶」のコラボレーション企画

「グリコ ポッキー」と「キリン 午後の紅茶」のパッケージ

出典:江崎グリコ株式会社 プレスリリース

2016年に発売された「午後の紅茶 恋のティーグルト」(発売元:キリンビバレッジ株式会社)と「ポッキーミディ 恋のレモン」(発売元:江崎グリコ株式会社)を交互に飲むと、レアチーズケーキのような味わいになるという企画にプラスして、スマートフォン専用アプリ「COCOAR」で2つの商品を読み込むと動画が再生されるキャンペーンが実施されました。両方商品のパッケージを並べると1つのデザインになるようなパッケージデザインで、組み合わせによって有名声優による12種類の物語を動画で見ることができる仕組みです。

実際の商品の提供に加え、ARを用いることで動画コンテンツも併せて提供することができた事例となります。本キャンペーンの告知と合わせることで、新商品のPRになっただけでなく、有名なYouTuberにも動画で取り上げられるなど、AR活用という新しい試みからSNSへ投稿したくなる商品としての話題性も獲得しました。

このように商品パッケージにARを導入する企業は年々増加してきており、店頭でも目にする機会が増えてきました。例えば、食品メーカーでは不二家やカルビーもハロウィン企画としてARフォトフレームを導入していますし、化学メーカー花王はシャンプーや食器洗い用洗剤にARコンテンツを導入しています。

最後に

ARは非日常的な楽しさや驚きを提供し、サービスの質を向上させるだけでなく、情報伝達をアシストする形で日常的に用いられ始めています。今後、スマートフォン以外にも眼鏡やコンタクトレンズといったデバイスの開発と普及で、より身近に、より便利になり生活の一部となっていくことが予想され、目の離せない技術です。

この度ご紹介した事例以外にもたくさんのAR活用事例があり、現在もARの活用は増加中でさらなる普及が予想されます。ARGOでは、随時そうした事例を取り上げ、ARに関するトレンドをご紹介します。「 ARについて何か知りたいな」とお思いの際にはぜひARGOを覗いて見てください!


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