愛しのキャラクターを自分の思いのままに！「今キテル！新人BL作家フェア」で活用された、心くすぐるデジタル特典とは

2018年1月、書籍を購入することでARキャラクターが手に入り、自由度の高い写真撮影などが楽しめる「今キテル新人BL作家フェア」が全国182もの書店で開催されました。現在、出版業界の中で拡大を続けるBL市場および書店で展開された、最先端の施策についてご紹介しています。

今キテル新人BL作家フェアとは？

全国の書店182店舗で「今キテル新人BL作家フェア」が、1月27日より開催されました。このフェアは今注目されている新人BL作家9人の作品を対象にしており、各作品のデジタル特典としてフェア限定描き下ろしのちびキャラで遊ぶことができるというものです。今回のフェアを通じて、新人BL作家の作品が多くのBLファンに認知される企画となりました。

「今キテル新人BL作家フェア」ポスターフェア対象の作家9人それぞれの作品のちびキャライラスト

ARの遊び方は？

それでは、ちびキャラたちを自分のスマホにお出迎えしましょう。

まずは書店で対象の作品を購入し、カバーを外して広げ、見開きになった表紙に無料ARアプリ COCOAR のカメラをかざすと、ちびキャラたちが登場します。これであなたのスマートフォンにキャラをお出迎えできました。このちびキャラは、ただスマートフォンに登場するだけではなく、自分のスマートフォンの中にダウンロードできたり、アプリのカメラ機能を使って写真を撮影したりすることができます。キャラたちをティーカップに入れてみたり、キーボードの上を走らせてみたりと、自分の好きなように、好きなだけ、ちびキャラを使って遊ぶことができてしまうのです。

BL×ARの企画が生まれたきっかけ

このフェアが開催される背景には、「書店で本を買う」という人が少なくなってきたことがあります。特に近年は出版不況と言われている中、電子版が普及してきたことやインターネットでの書籍購入が簡単になってきたこともあり、わざわざ書店に出向くことが遠のいてきていました。そのため出版社や書店をはじめ、出版物に関わる様々な企業は「お客様に店舗に足を運んでもらい、紙媒体の書籍を購入してもらうにはどうしたら良いか？」という施策に、日々試行錯誤していました。

また今回扱っている「BL」というジャンルは、近年ではどんどん市場規模が大きくなっており、一般的に知られるようになってきていますが、まだまだ「オタクが好きなジャンル」「アダルトなイメージ」という認識が残っている現状もあります。また、購入している姿を見られたくないといった恥じらいを持つ読者もいます。書店としても、BL関連の書籍は大々的に平積みしづらかったり、奥まった場所に売り場コーナーを配置したりと、なかなか積極的に「BL」の書籍を売り出すことにためらいのある書店もありました。

こうした状況の中、読者にも書店にも受け入れてもらえる施策として、今ではほとんどのユーザーが持っているスマートフォンを活用する案が候補として出てきました。またターゲットとしている読者層はSNSで情報を仕入れている人も多くいるため、「スマートフォン」「SNSとの連動」「書店への来店促進」の要素を兼ね備えた方法としてARを活用することになり、今回の企画が生まれました。

新人BL作家たちの描くちびキャラとともに、アプリでキャラクターたちをスマホに呼ぶ方法を図解するポスター

BL作品市場のこれから

昔から根強いファンに支えられ続けてきた「BL」の市場規模はますます広がっています。そのきっかけとなったのが、2014年に新書館から発売された、宝井理人著の「テンカウント」です。潔癖症の社長秘書と無愛想なカウンセラーの繊細な恋物語は、BL市場では異例といえる150万部を超える大ヒットとなりました。この作品をきっかけに、いままで興味のなかったライトな層にもBLが浸透したといえます。

データマーケティングを行う矢野経済研究所によると、2015年度のBLの市場規模は、前年度から3.8%アップの220億円と算出されたそうです。翌年の市場規模は前年度比1.4％アップの223億円と予測しています。BLはまさに低迷する出版業界における救世主、主力商品といえるでしょう。

また、BLは小説や漫画だけでなく、アニメやドラマ、映画、CDやゲームなど、幅広いメディア展開があり、これも市場が拡大している要因といえます。

BL作品を作り上げる作者や編集者を始めとした関係者は、より一層、読者を増やしていくために、店頭での販売企画やSNSでの拡散施策など、さまざまなPR方法を試みています。これからのBL業界に、さらに注目です。