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ミラーワールドとは?「MIRROR WORLD ARが生み出す次の巨大プラットフォーム」を読んでみた

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第三のグローバルプラットフォーム「MIRROR WORLD」の総力特集、『WIRED』日本版VOL.33が発売されました。ARGO編集者がARに関係したその魅力をお伝えします。


〈インターネット〉の次に来るものは〈ミラーワールド〉だ──。そんなワクワクする文言から『WIRED』日本版VOL.33の特集は始まりました。特集のテーマは、来るべき第三のグローバルプラットフォームとなる「MIRROR WORLD(以下:ミラーワールド)」についてです。

1.世界は隅々までデジタル化する

『WIRED』日本版VOL.33

出典:WIRED

そもそも「ミラーワールド」とはなんなのでしょうか?

本誌では、「鏡像世界=ミラーワールド」としたうえで、現実の都市や社会のすべてが1対1でデジタル化された世界を「ミラーワールド」とおいています。それは、現実世界の存在すべてにバーチャルなデータが紐づけられて、現実世界の対としてそれが存在することを意味しています。

つまり、データ上にもう一つの世界がデジタルツインとして存在している世界です。なかなかに壮大な話ですが、もしそんな世界が実現されたらと思うとワクワクしますね。

2.第三の巨大プラットホーム

歴史的に見ても「デジタル化」という波は、私たちにとっても、とても身近な出来事でした。

テクノロジー分野における第一の巨大プラットフォームはウェブでした。情報がデジタル化し、人々はウェブを介してそれを共有しました。

第二の巨大プラットホームは、基本的には携帯電話上で展開するソーシャルメディアです。Facebookなどのソーシャルメディアにより、我々の行動や関係性、ひいては人々がデジタル化されました。

そして現在、第三のプラットホーム幕開けの段階にあると本誌は示しています。デジタル化するは、世界の残りすべて。マシンがモノや場所を認識できるようになるのだそうです。そしてそれこそが、「ミラーワールド」なのです。

MIRROR WORLDにおける可視化されたデジタルツイン

出典:WIRED

詳しい説明は省きますが、例えば「購入予定の車」を検索すると、それが売られている販売所のデータや車の写真などではなく、「車そのものの個体データ」が検索できるわけです。

突き詰めれば、失くしモノが無くなる世界なのか?と期待してしまいます(笑)

3.ARとMIRROR WORLD

「AR(拡張現実)はミラーワールドを支えるテクノロジーだ。生まれた当初はヨチヨチ歩きだったこのテクノロジーは、やがて巨人へと成長するだろう」と筆者はいいます。

2016年、VRやARが一般に広く、低いハードルで体験できる機会が増えたことにより「VR元年・AR元年」などと呼ばれていたのは記憶に新しいでしょう。本誌では、ARにフォーカスを当てて、ARとそこから見えてくるミラーワールドの片鱗を確認していきました。

ミラーワールドの片鱗は身の回りのあちこちで見られます。そしてそれが明確であったのが「ポケモンGO」でした。

「ヴァーチャルとフィジカルの結合」がこれほどまでに魅力であると世の中の人々は感動し、社会現象とまで言われるほどに流行しました。

スマホから覗ける、ポケモンがいる世界。それこそがミラーワールドの可能性を探求する際の、ちょっとしたヒントになりうるとしています。

つまり、ミラーワールドを覗ける”窓”を、我々はすでに持っているわけです。そして、それを窓たらしめるテクノロジーが、「AR」であるというわけです。

4.すべてのものが“デジタルツイン”をもつ

ミラーワールドの中では、すべてのものが対として存在します。

MIRROR WORLDにおける街並みのデジタルツインイメージ

出典:WIRED

1960年の段階でこのコンセプトを持っていたNASAのエンジニアたちは、宇宙に送るすべてのマシンの複製を持つことでトラブルシュートしていました。これがコンピューターシミュレーションへと発展したものがデジタルツインです。

世界最大の企業であるゼネラル・エレクトリックは、大規模機械の設計、作成、運用においてNASAのやり方を拝借し、それぞれの機械のデジタルツインを創り始めました。 各部品が3次元空間で再現され、ミラーワールドに配置されます。

近い将来、こうしたデジタルツインは基本的にエンジンの動的なデジタルシミュレーションに利用されることになると本誌は示しています。

ゼネラル・エレクトリックは自らを「デジタル産業企業」と位置づけ、その定義を「フィジカルとデジタルの世界を融合する」こととしました。それはつまり、ミラーワールドをつくることだと言い換えられます。

この「フィジカルとデジタルの世界を融合する」という考え方は、話題の科学技術基本計画「ソサエティ5.0 」にも共通していますね。そして、その考えが約60年前には存在していたという事実には驚きです。

5.デジタルツインの広がり

マイクロソフトは、デジタルツインの考え方をモノからシステム全体へと拡張しています。 同社はAIを使って「工場全体で起きていることを複製する、没入感のあるヴァーチャルなレプリカをつくっている」のだといい、ARギアを通してデジタルツインを確認することで、トラブルシュートを行っているのです。

やがて、あらゆるものがデジタルツインをもつことになります。それは、我々が思うよりも早く実現すると筆者はいいます。

家具小売のWayfairは、何百万という製品をオンラインのインテリアカタログで紹介していますが、そのほとんどが3次元の写実的なコンピューターモデルなのだそうです。よほど細かく見ないかぎり、サイトに載せられたミキサーの画像が実はヴァーチャルなものだとは気づかないでしょう。

つまりWayfairのサイトを眺めることは、ミラーワールドをのぞき見ていることになると考えていいかもしれません。

Wayfairはいまや、こうしたデジタル家具をさらに幅広く活用しようとして、スマホのカメラを使って室内をデジタル上でシミュレーションできるアプリをリリースしました。このアプリを使えば、ユーザーはヴァーチャル家具を自分の部屋に配置できます。

6.今後近い未来のミラーワールド

スタートアップ企業の6D.aiは、大きな物体をリアルタイムに見分けるARアプリを開発するプラットフォームをつくりました。

このアプリを使って街路の写真を撮れば、クルマは一つひとつ別々に認識され、街灯は背の高い物体として近くの街路樹とは別のものとして認識され、クルマの背後にあるお店の入り口も認識されるそうです。

これを筆者は、「世界が意味ごとに分類される」と表現します。そしてその分類には連続性があり、互いに結び付いているといいます。

そのつながりにはAIによって生み出された文脈があります。つまりミラーワールドは、長らく待望されていたモノのインターネット(IoT)をつくりあげるのです。

上記の筆者の表現を読み解くには知識が足りていないかもしれませんが、つまり別角度から撮影や何らかの形で複数認識された現実世界の単一オブジェクトが、ミラーワールドにおいてAIによって一つのデジタルツインとして統合されるのでしょう。

そしてこれが、ミラーワールドを形作るプロセスのひとつなのです。

さいごに

今回紹介させていただいた『WIRED』日本版VOL.33の特集「ミラーワールド:ARが生み出す次の巨大プラットフォーム」は、とても読みごたえがあり、ARに携わるものとしてとても興味深い話題が詰まった内容でした。

『WIRED』日本版VOL.33 MIRROR WORLD

出典:WIRED

かつて、今では生活になくてはならない「スマートフォン」が登場した時は、「あったら便利」「革新的」という評価でした。

そして今後は、ARを含む、MR・XRが生活に「なくてはならない」存在になるような、そんな世界が確かにやってきていることを、このミラーワールドに関する本誌を読んで感じさせられました。

上記で挙げさせていただいた内容よりも、本誌ではさらに深くより詳細に話題を広げていっています。

中身のデザインもスタイリッシュで、読み進めることでワクワクが止まらず、止め時が見つかりませんでした。

今とても勢いのある「AR」という分野が、今後どのような発展をして、どのような社会を形作っていくのか。その答えが垣間見える、そんな読み物です。

ARに携わる方、興味を持つ方はぜひ一読をおすすめします。

関連リンク

  1. 『WIRED』日本版VOL.33
  2. ミラーワールド:ARが生み出す次の巨大プラットフォーム
  3. WIRED

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