AR活用の最先端事例!「5G」をテーマにした『DOCOMO Open House 2020』がすごすぎるのでまとめてみた
2020年春に本格運用となる5Gや関連技術を展示した「DOCOMO Open House 2020」が2020年1月23日(木)・24日(金)に東京ビッグサイトで行われました。本記事では5G技術を生かした、AR/MR/VRの優れた活用事例8選をお届けします。
「DOCOMO Open House 2020」とは、NTTドコモが2020年春開始予定の「5Gをメインに、AR/VR、AIやIoTなどの先端技術を活用したサービスやソリューションの技術展です。2009年に神奈川県の同社研究開発拠点でスタートして以来、今年で11回目を迎えます。
本イベントでは約270以上の技術やサービスの展示が行われました。なかでも5G活用によるAR/MR/VRの技術革新はめざましく、多くの来場者の注目を集めました。
そこでARを中心に、ARGO編集部が「この技術は素晴らしい!」と思ったサービス・ソリューション8選をご紹介します。どれも自分が生きているうちに実現してほしい技術ばかり✨✨SF映画が現実になる世界もあともう少しのはず…!!!
それではさっそくみていきましょう~(^o^)
もくじ
1.複数人でのAR同時体験が可能に。ドコモが魅せる「ARクラウド」の世界
2.2030年の神戸をみんなで街づくり 都市開発シミュレーション「AR City in Kobe」
3.ついに施設型ARが登場!?マルチプレイARシューティングゲーム『ギミック&ガンズ』
4.より深い没入感を味わえる!新機能が追加されたMagic Leap版『ロイと魔法の森~Prolongue~』
5.ドコモの「新体感ライブ CONNECT」とSixTONES・Snowがコラボ!臨場感あふれるARフォトブースが話題
6.リアルとバーチャルが融合!5G×MRの新しい可能性を示した「ウルトラマン MR Show」
【AR】
複数人でのAR同時体験が可能に。ドコモが魅せる「ARクラウド」の世界
NTTドコモは「ARクラウドで実現する未来の生活スタイル」の体験展示を行いました。本展示にあたり、株式会社ホロラボと株式会社デザイニウムが技術サポートを行っています。
Q.ARクラウドとは?
AR空間をインターネット上で共有する仕組みとのこと。ARクラウドにより、複数人でのARコンテンツのリアルタイム共有や、多数のデバイスの同時使用が可能になります。
本ブースでは各種センサーから取得した情報をもとに、デジタルツイン(※1)を生成。AR/MR端末でデジタルツインを覗き込むというコーナーが展開されました。
※1…現実世界に存在する製品や製造設備の情報などをリアルタイムに収集しサイバー空間(仮想空間)に送信。サイバー空間上に現実空間と同じ状態・状況を再構築し、その仮想モデルを用いた高度なシミュレーションを行う概念のこと。ツインは「双子」の意味。
来場者はiPad、Magic Leap 1、Mirage Soloのいずれかを使用し、屋外と室内を模したデザインブースを歩き回ると、画面上に現実空間には存在しない提灯が見えたり、緑のネオン看板が出現。英語なども表示できるため、多言語対応しインバウンド対策としての利用も見込めるとのこと。
従来のAR体験は1人で楽しむものがほとんどでしたが、ARクラウドが発展すれば、複数人が同フロアにいながら、異なるデバイスを着用しつつ、リアルタイムで同じAR体験を楽しむことが可能です。デモは最大6人で実施されましたが、サーバー次第ではより多くの人数が可能に。今後我々の世界にどう活用されていくのか、実用化が楽しみな技術です(*^^*)
2030年の神戸をみんなで街づくり 都市開発シミュレーション「AR City in Kobe」
株式会社MESONは、ARクラウド技術を使用した「AR City in Kobe」の企画展示を行いました。
「AR City in Kobe」とはARクラウド技術を活かし、複数人で2030年の神戸市を仮想空間で作り上げるARコンテンツです。昨年リリースしたipad版をMRグラス・Magic leap 1版にアップデートし、より没入感のある体験を味わえます。神戸市の主要駅である三宮駅の再開発が進んでいることから、再開発に絡めたテーマで本アプリが制作されました。
ちなみに今回はRealSenseを使ってARのイメージをディスプレイ上にも投影しています!
— ARおじさん / MESON (@AR_Ojisan) January 22, 2020
もちろんオクルージョン表現もしているので、ブースに自然な形でARコンテンツが溶け込んでいます
お忙しい方でも外から体験の様子を見ることができますので、少しのお時間でも是非お越しください! pic.twitter.com/EAqPIUGtv8
「ARおじさん」こと株式会社MESONのCOO・小林佑樹さんのツイートによると、デモを映すディスプレイ画面にもARを感じられるように、3Dカメラ技術「RealSense」を導入し、オクルージョン(映像の奥行き)処理を行っているため、ARコンテンツが自然な形で表示されているとのこと。上記のツイートからはAR体験をしている参加者の様子や、ディスプレイに滑らかに映る「AR City in Kobe」を確認できます。
本企画は株式会社博報堂DYホールディングスとの共同研究プロジェクト。ARクラウド技術を用いた技術検証を通して、ARクラウドが社会実装される時代に求められるサービスやビジネスモデルを生み出していくとしています。
ついに施設型ARが登場!?マルチプレイARシューティングゲーム『ギミック&ガンズ』
株式会社ENDROLLは、Magic Leap 1を用いたマルチプレイARシューティングゲーム『ギミック&ガンズ』が展開されました。
出典:株式会社ENDROLL
『ギミック&ガンズ』とは、「Magic Leap 1」を同時に着用し、最大4人でプレイするマルチプレイARシューティングゲームです。参加プレイヤーは銃を使って画面に現れる敵を撃ち、最高得点を競い合います。スコアはそれぞれのプレーヤーの頭上に浮かんでいる仕組みです。
同社はドコモの協力を得て、2019年10月から「Magic Leap 1」を用いたARコンテンツを開発し、本イベントにて披露されました。今回展開された『ギミック&ガンズ』はシンプルなシューティングゲームでしたが、2020年の夏頃にシステム面が大幅にリニューアルした新しいARゲームがリリースされる予定です。
ARを用いて楽しめるゲームとしては、株式会社meleapが展開するARスポーツ「HADO」や、Graffity株式会社のARシューティングゲーム「ペチャバト」などが有名ですが、AR対応のヘッドセットの登場により、商業施設やゲームセンターなどでの導入が見込まれ、さらにARゲームの活用幅が広がることが予想されます。
より深い没入感を味わえる!新機能が追加されたMagic Leap版『ロイと魔法の森~Prolongue~』
curiosity株式会社は2019年12月から配信中のARアドベンチャーゲーム「ロイと魔法の森~Prologue~」(iOS/Android)のMagic Leap版を展開しました。
「ロイと魔法の森」はAR技術によって、普段何気なく過ごしている日常空間がファンタジー世界と融合し、冒険を楽しめるARアドベンチャーゲームです。展示ブースでは配信中のPrologue版を体験でき、3つのミッション(「キャンドルチャレンジ」「樽チャレンジ」「ミニバトル」)に挑戦できました。
「ミニバトル」には新機能「手から炎を放つ」魔法が追加され、特定のミッション時にハンドジェスチャーで手から炎を放てます。コントローラーを使わずに手から魔法を放てるため、リアルなファンタジー感を体験できるとのこと。
・関連リンク
ARGO:自分の部屋が冒険の舞台になる!「ロイと魔法の森~Prolongue~」の海外配信がスタート
さらにプレイヤーの画面を第三者が閲覧できる鑑賞システム(スペクテータービュー)や、複数のMagic LeapとiPadが連動するマルチプレイヤー機能も実装。より多くの人が楽しめるように改良されています。
ドコモの「新体感ライブ CONNECT」とSixTONES・Snowがコラボ!臨場感あふれるARフォトブースが話題
出典:ドコモ「新体感」ライブ
NTTドコモは、さまざまなアーティストの生ライブ視聴やARを活用したフィギュアによる演奏を楽しめるサービス「新体感ライブ CONNECT」とアイドルグループ「SixTONES・Snow Man」とのコラボ企画のひとつに、メンバーとのAR撮影が行える「ARフォトブース」を展開しました。
出典:BITDAYS
参加者はSixTONES・Snow Manのどちらかを選択し、ARフォトブース内に入ります。指定の箇所に立つと、メンバーたちがブース内に設置されたディスプレイに出現。メンバーが自分のすぐ隣に並び、画面越しに話しかけたり手を振ったりするため、まるで一緒に写真を撮っているような気分が味わえます。
コラボを記念し、2020年2月18日(火)開催のドコモ「新体感ライブ」イベントにSixTONES・Snow Manの出演が決定。2020年2月現在、公式HPでは本イベントの生配信視聴+メンバー全員のARフィギュアを販売中です。
また3月18日(水)にはdポイント利用登録者限定イベントを実施。18日・19日(木)に行われるライブビューイング・ディレイビューイングでは、ハイクオリティなVR映像でSixTONESとSnow Manのパフォーマンスを楽しめる「8KVRライブ」、自分そっくりの3Dアバターを作成できる「ポケットアバター」、「ARフォトブース」の3つの技術体験コンテンツを楽しめるとのこと。AR/VR技術を用いることで、臨場感ある新たな音楽体験が可能になります。
【MR】
リアルとバーチャルが融合!5G×MRの新しい可能性を示した「ウルトラマン MR Show」
出典:株式会社ワントゥーテン
NTTドコモは5G×MRを活用し、リアルとバーチャルが融合した屋外での新しいコンテンツ「ウルトラマン MR Show」を披露しました。
出典:株式会社ワントゥーテン
「Magic Leap1」を装着し、ブース中央に設置されたジオラマセットを眺めると、ウルトラマンとバルタン星人の戦闘を見られます。パンチやキックでの打撃戦をはじめ、空中で激しく揉み合う2人の姿や、ウルトラビームを放つウルトラマンなど熱いバトルショーが繰り広げられました。
「ウルトラマン MR Show」はMRデバイスを使って好きなアングルから鑑賞できるほか、来場者の3Dデータをリアルタイム転送し、バトルが繰り広げられるジオラマ内に登場するデモも実施されたとのことです。5Gの登場によって、これまでの映像表現が大きく変わりそうな印象を受けました。
3Dスキャンしたもう1人の自分が踊りだす 「ダンシング★アバター MR」
ドコモのコラボレーションパートナーである株式会社VRCと株式会社ワントゥーテン(1→10)によるコーナーでは自分そっくりの3Dアバターがダンスする、AVATAR×MR「ダンシング★アバター MR」が展示されました。
出典:株式会社ワントゥーテン
まず最初に会場内に設置された3Dスキャンブース(写真左)に入り、全身をスキャンします。すると動く3Dアバターが瞬時に生成。「Magic Leap 1」を装着し、ダンスフロアを眺めると、カッコよく踊る自分の姿(写真右)を、3D映像で全方向から見ることができます。
参加者は動く3Dアバターに手をかざしてみたり、いろいろな角度からダンスフロアを眺めたりと、5G×MRによる新技術を興味深そうに眺めていました。超高速・超低遅延・大容量通信が可能な5Gだからこそ実現できる企画で、MRを併用した新しいエンターテイメントに応用できそうです。
【VR】
フェスや狂言鑑賞、ショッピング体験まで!4つのVR体験を楽しめる『ABAL:プレゼンテーションタワー』
出典:マイナビニュース
株式会社ABALは、独自のVR技術を使った展示空間『ABAL:プレゼンテーションタワー』を公開しました。
『ABAL:プレゼンテーションタワー』は、VR空間内に構築された6階層からなる展示空間です。1階~6階の各階にフロアーコンセプトが設定されています。ユーザーはヘッドマウントディスプレイ「Oculus Quest」を装着し、バーチャルなエレベーターに乗って各階を移動しながら、新しいエンターテインメントや教育、店舗販売の形を体験できます。
出典:株式会社ABAL
[各フロアコンセプト]
◆1F:ロビー・はじめに『ABAL:プレゼンテーションタワー』の説明
◆2F:協力して行う部品組立トレーニング
マニュアルに書かれた手順に従って、空中に浮かぶ映写機を組み立てるフロア。VR空間内で互いにコミュニケーションを取れるため、本技術を活用したトレーニングや教育コンテンツへの活用が可能とのこと。また5G環境の整備により、遠隔地にいるコーチによる指導や評価、複数拠点をつないで行う合同トレーニングなども実現可能です。
◆3F:世界3大フェス『Tomorrowland』を体験
世界最大級のEDMイベント『Tomorrowland』を360度のドームシアターで再現。空間CG演出などによって新しい音楽体験を得られます。大規模人数によるライブストリーミングや遠隔地の別会場とのコミュニケーションも実現可能とのこと。
◆4F:狂言師 野村万作による『栗焼』
人間国宝である狂言師・野村万作氏による演目『栗焼』を、3DCG化しVR空間内で上映。立体的な情報を取得するボリューメトリックビデオで野村氏の狂言を収録し、ユーモア溢れる表情や細やかな所作をあたかも目の前で演じているかのような臨場感で観賞できます。演劇や音楽ライブ、アトラクション分野におけるVRエンターテインメントでの活用が見込めます。
◆5F:VR POP-UP Store by ADASTRIA
ブランド『GLOBAL WORK』のVRポップアップストアです。VR空間を埋め尽くすプロジェクションマッピングでブランドを表現。商品は3DCG(ボリューメトリックスキャンによる撮影)で展示され、VR店舗での購入プロセスイメージを体験できます。ポップアップストアや展示会、屋外広告での活用が期待できます。
◆6F:EXIT
個人的に驚いたのが、ユーザー間でコミュニケーションを取りながら、さまざまなVR体験を味わえることです。特にフロア2Fの部品組み立てトレーニングは、遠隔操作分野において非常に役に立つ活用方法だと感じました。同社は今後も「バーチャル体験の共有」をテーマにVR技術の研究開発を進め、商用化の可能性を提案していくとしています。
終わりに
5Gが切り開く新しいビジネスや未来の可能性を示した『DOCOMO Open House 2020』。本技術との併用により、AR/MR/VRの活用幅がこれほど広がるとは思わず、強い衝撃を受けました。現段階では実証実験の域を出ていないのがもどかしいですが、今後の技術発展を首を長くして待ちたいと思います(^^♪(そして来年こそは『DOCOMO Open House』へへ行ってみたいです!!!)。
イベント情報「DOCOMO Open House 2020」
開催期間:2020年1月23日(木)~2020年1月24日(金)
時間:9時30分~18時
開催場所:東京ビッグサイト(青海展示棟)
参加費用:無料 ※事前登録制