世界初、ARを使ったコンテナ船無人運行の実証実験が成功 3年後の実用化目指す
世界初、AR/AIを活用した営業コンテナ船の無人運行の実証実験が行われました。AR/AIを搭載したコンテナ船は福井県敦賀港から鳥取県境港まで約270kmの航行に無事成功。本実証実験は日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」の一環としておこなわれています。
出典:日本財団 プレスリリース
ARが使われたのは陸上モニタリング用のナビゲーションシステム。無人運航船では陸上での監視も必要なことから、AR技術を利用して、船上からの映像に情報を重ねて表示するシステムを取り入れました。現実世界とコンピューター上の情報を組み合わせることで、陸上に居ながら船上の詳細な情報が得られます。
無人運航で船員の負担軽減や事故などの課題解決を目指す
無人運航の実証実験をおこなったコンテナ船「みかげ」では、AR技術のほか、AI学習による他船検出システムや検出した他船の動きに基づいて衝突を避ける自律操船システムを開発し搭載しています。 また船員総動員で行う着岸の船員負担を軽減しようと、船を岸壁に係留するロープをたぐりよせるヒービングラインを無人のドローンで運ぶシステムも開発・導入しました。
出典:日本財団 プレスリリース
国内海上物流の重要な役割を担っている内航船では、1回の運航での船員の拘束時間が長いことや高齢化での船員不足といった課題を抱えており、労働基準法に照らし合わせた場合3~4割の船員が労働時間に関する基準を超えている現状があります。
ARやAIを使用した今回のコンテナ船の無人運行は、海の事故の減少、人手不足の解消、作業員の負担軽減などさまざまな課題の解決が期待されており、2025年の実用化を目指し進められています。
ARGO編集部のひとこと
同様のAR技術を活用する事例は、商船三井と古野電気が共同開発した「AR航海情報表示システム」があります。また自動車のカーナビにAR技術を活用しフロントガラス上に情報を表示させた『メルセデス・ベンツの新車「Sクラス」』などもありました。AR技術を活用することで情報が視覚化できて処理がしやすくなるほか、遠隔操作ができ、作業の負担軽減や事故防止につなげることも可能です。