ARを活用した人工股関節手術開始!浅草病院がARの簡易ナビシステム導入
AR技術を活用した簡易ナビシステムを導入した人工股関節手術を、医療法人社団哺育会 浅草病院が2021年6月下旬より開始しました。デジタル情報を現実の風景に重ねることで、情報が視覚化されるAR技術を人工股関節手術に活用することにより、これまで見ることのできなかった人工股関節の位置を目で見える形で表すことができ、人工股関節設置をより正確におこなうことが可能になります。
ARの簡易ナビシステムを活用した人工股関節手術
人工股関節におけるAR技術を活用したナビシステムは術前計画に沿った手術操作を手助けするためのツールで、カーナビのように術中に骨の向きや位置を把握して目的の位置に導きます。CT撮影を手術前におこない、コンピュータに患者の股関節の形を取り込むことで、その股関節にあった人工股関節のデザインや設置位置・設置角度・大きさ・骨移植や骨棘切除の量などを計画します。術中は三次元センサーのカメラで骨に取り付けた赤外線マーカーから出される赤外線をとらえ、骨の向きと位置を測りながら手術をナビします。
Zimmer-Biomet社が開発したARを活用した簡易型のナビゲーションシステムは、滅菌ケースにiPhoneを挿入し、カップの挿入機器に取り付けて使用します。iPhone越しにインプラントや骨盤の傾きを表示することが可能で、従来のナビゲーションと比べると簡易・短時間なシステムでの手術が実現し、感染リスクの低減とナビゲーションを利用した正確なインプラント設置が可能になりました。
ARを活用したナビゲーションシステムのメリット
ARを活用した簡易ナビシステムの導入で、1mm程度の長さの誤差や2~3度程度の角度の誤差でインプラントの設置が可能になるほか、足の長さを左右で揃えることができるなど、「正確な設置」を実現できるというメリットがあります。また、脱臼しにくい設置や人工関節が長持ちする角度への設置なども叶えられます。
現在は医療分野においてもMRIやCTのデータを医師の視界に重ねて、病変や血管の位置を確認するなど、AR技術を活用した施策の研究が始められています。本サービスをはじめとして、今後も医療界におけるAR技術のさらなる展開が期待されてます。
ARGO編集部のひとこと
AR技術を活用した情報の視覚化によって情報の処理がしやすくなるというメリットがあり、現在医療分野のみならず、マップ・ナビゲーションや交通、観光・旅行などの様々な分野で導入されています。また土木・建築分野においては遠隔作業サポートなどにもAR技術が活用されています。