ARを利用した船舶システムが運用開始!他船や浅瀬などの情報を瞬時に把握
2019年4月22日、株式会社商船三井 と古野電気株式会社 、商船三井テクノトレード株式会社 は、AR技術を活用した航海情報表示システムを、商船三井グループの運航する大型原油タンカー(VLCC)21隻に搭載することを発表しました。
本システムは、リアルタイム映像に航海情報をARで表示することで、乗組員の見張りや操船などを視覚的にサポートするというもの。古野電気株式会社が開発した最新鋭電子海図表示装置(ECDIS)FMD3300シリーズと連携し、船橋カメラからの映像に自動船舶識別装置(AIS)やレーダーの情報を統合することで、他船や浅瀬などの情報を瞬時に把握することを可能にしました。
2018年から実施実験がおこなわれてきた同システムは、古野電気が正式に製品化することを発表し、非常に慎重な操船が求められる船の一つであるVLCC船隊に搭載することが決まりました。VLCC船隊は、難所といわれる3カ所の浅瀬があり、船舶交通も多いマラッカ・シンガポール海峡などを航行しており、非常に慎重な操船が求められる船の一つとなっています。
同社は、2016年11月に「船舶維新NEXT~MOL SMART SHIP PROJECT~」を発表し、高度安全運航支援・環境負荷低減を推進してきました。今後も、「ICT技術を利活用したサービス向上を通じ、物流のビジネスパートナーとしてお客様に選ばれる企業グループを目指す」としています。
まるでゲームやSF映画のような、さまざまな人が漠然と「あったらいいな」と感じていたシステムですが、すでに実用化もされています。今後多くの船舶に導入されれば、航海中の事故も減っていくことでしょう。
ARGO編集部のひとこと
船舶交通の多さは動画を見ると明らかです。船舶事故は乗組員を危険にさらすだけでなく、沿岸地域や海環境にも多大なる影響を及ぼします。海が一続きである以上、その影響は遠く離れた地にも及びかねません。モニター画面にリアルタイムで情報を表示し、実際の周辺状況と重ね合わせてみることのできるARは、船舶だけに限らずさまざまな乗り物で、事故を未然に防ぐために重要なものといえます。