ARで工事現場の「危険度」を表示!トンネル工事の安全性向上システム
株式会社竹中土木はAR技術を活用したトンネル工事の現場における安全性向上を目的とする「トンネル切羽変状可視化システム」の公開実証実験を、2020年1月、福島県伊達市内のトンネル工事現場にて実施しました。
出典:株式会社竹中土木
「トンネル切羽変状可視化システム」とは、山岳地帯でトンネル工事をおこなう際、リアルタイムで切羽(きりは)の肌落ち(掘削面の土砂や岩盤が崩れ落ちること)や崩落・崩壊の兆しを検知し、警報を発信するシステムです。
「トンネル切羽変状可視化システム」は演算工房・計測技研の協力の下実現。現場の作業員がヘルメットとともにスマートグラスのようなウェアラブルデバイスを装着して作業を行います。工事中のトンネルの状況は自動的に3Dレーザースキャナーなどで計測され、切羽が基準を超えて押し出されている場合には該当箇所をグリーンレーザーで照射、同時に切羽の近くにいる作業員のヘルメットを振動させて危険を伝えます。またウェアラブル端末および現場や本社、営業所にあるPC・タブレットには、ウェブカメラで撮影された掘削箇所と同箇所の解析結果をリアルタイムにARで表示。危険度が色分けされてAR表示されるため、作業員は安全を確かめながら工事が進められます。
実証実験では、試験的に崩れやすいモルタルが切羽に吹き付けられました。すると、グリーンレーザーが反応・照射をおこない、作業員のモニターやウェアラブル端末には該当箇所が色付けされてAR表示され、作業現場であるトンネル坑内にいたすべての人員がモルタルの崩れを認識できたとのことです。
ARGO編集部のひとこと
「トンネル切羽変状可視化システム」は、安全性が評価されたことにより、国土交通省による「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」内「データを活用して土木工事における施工の労働生産性の向上を図る技術」に採択されました。他にも業務効率化の分野だと、船舶監視システムや鉄道車両のメンテナンスにもAR技術が活用されるなど、作業品質の向上や人員不足にAR技術が役立っていることがわかります。