「見る」だけから「体験する」、話題の「ARとアート」9選
こんにちは!ARGOの佐渡です。
最近は、アートの世界でARが活用されており、これまでにない表現やかつてない体験ができるようになっています。
そこで今回は、アートを創作する側、また観る側にとっても新しい可能性となっているARが使われた例について紹介します。
空間に絵が描ける!ARアートが楽しめるアプリ「Wonder Door」
株式会社ソニー・デジタルエンタテインメント・サービスと株式会社ワンダーリーグが、iPhoneの機能「ARKit」を使ったお絵かきアプリ 「Wonder Door」 をリリースしました。
アプリではAR機能によって、好きな色で「空間」に絵を描けるようになります。iPhoneを前後に動かすと、奥行きも表現でき、2次元を越えるような迫力ある絵となるようです。また仕上がった絵にGPS情報を付与し、サーバー保存することも可能。限定時間内にGPS情報が付与された絵が描かれた場所に行くことで、他の方が描いた絵を見に行くということもできます。サプライズメッセージを残す、といった活用もできそうですね。
そして、アプリ内にプリセットされている著名アーティストのARアートを好きな場所に表示させ、ともに写真を撮ることもできます。選べるARアートは動物や風景などさまざま。子供にも大人にも、空間に絵が描けるわくわく感あるアプリとして長く楽しむことができそうです。
2018年8月には、イベント仕様の本アプリを利用したアートワークショップが海洋都市横浜うみ博2018で開催予定。今後は教育現場での活用を見越し、複数端末を利用した共同作品制作も実現させる予定とのことです。
アートワークショップでAR空中水族館を作ろう!ソニー・デジタルエンタテインメント×横浜美術大学の産学連携|株式会社ソニー・デジタルエンタテインメント・サービスのプレスリリース
アート集団「MoMAR」、NY近代美術館への批判手段としてARアート活用
ARが肉眼で見えないことを利用し「権力へ対抗する手段」としてアート活用している集団がいるようです。
アーティストグループ「MoMAR」は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)が偏った展示をしているとし、この点を批判するため、ARで実際の展示物の上に自分たちの作品を重ねあわせて来場者に見せるというゲリラ的パフォーマンスをおこないました。MoMA側には無許可でおこなわれたというこのデモンストレーション。皮肉色が濃くなってしまいがちではありますが、物理的に展示品を破壊することなく、絵をパズルのように組み替えたり、ゲームの背景にしてしまったりという表現方法からは、元アートをリスペクトした作品改変と捉えられなくもないように思えます。MoMARは「テクノロジーが、抗議という行為の新しい扉を開いた」と語っているそうです。
MoMAR
MoMAR - AR gallery - Google Play のアプリ
人類への注意喚起!?アート作品を迫力のAR表示
ペリッツ アート ミュージアム マイアミ (PAMM) の「Invasive Species (侵入生物種)」展では、2018年5月にフェリーチェ・グローディン氏が制作したアートが展示されました。グローディン氏はもともと建築分野に造詣が深く、独特のバランス感覚を立体で表現するアーティスト。なかには実物ではなく、ARによって3Dで表現されている作品もあります。
AR作品のひとつ、長い節々を持った昆虫のような「Mezzbug」は実際の高さ約15m、幅が約30mともなり、観る者を圧倒します。さらに手元のスクリーンに触れると、脚がけいれんしたようにうごめくという試みも。グローディン氏によると「気候変動と人間の手による自然崩壊の悪影響」への問いかけがコンセプトとなっており、これらの巨大生物群が近い将来の内に現れ始めてもおかしくないと喚起しているとのことです。
室内で自由にアート作品を試し起きできるARアプリ「Art.com」
カリフォルニアのEコマース企業「Art.com」が配信を開始したアプリ「Art.com」では、自分の部屋など好きな場所にデジタルアート作品を試し置きすることができ、気に入ったものをすぐに購入することができます。
まだ日本国内への配信は未定ですが、あつかう商品の数はなんと約200万点。ARを表示するデバイスを動かしてもアート作品を置いた場所は固定されるため、あらゆる角度から室内の雰囲気を確かめることができる、自由度の高いアプリとなっています。
Art.com on the App Store(英語版)
平面のアートをARでより深く体験!ARワンダーランド
2017年7月から9月の期間、東海テレビがARアートミュージアムというイベントを開催しました。
このイベントでは、絵や写真、絵本といった展示物にスマートフォンをかざすと、AR技術によって絵が動き出したり、写真が動画になって見られたりと、ARのアートを体験しながら展示物を見学することができました。また、子ども向けの展示だけでなく、ARワンダーランド出展作家による本格的なアーティストトークやARのプログラム体験ができるワークショップの同時開催も。多くの世代にとって、ARについて見識を深めるための貴重な機会となっていました。
デヴィッド・ボウイの生涯をARで楽しめる「DAVID BOWIE is」リリース決定
2013年から2018年にかけて、東京を含む世界12都市で開催された展覧会「DAVID BOWIE is」。デヴィッド・ボウイにまつわる展示品や映像、音楽、インタビュー音声、解説文を見学できたこのイベントを収録したデジタルコンテンツが、2019年1月にリリースされました。
本コンテンツ内では、AR技術やVR技術によって、デヴィッド・ボウイを映像で再現。会場でしか展示できなかった、衣装のような展示品も同技術により3D化されるとのことで、ファン必見の内容となっています。
David Bowie is – The AR Exhibition(英語版)
ARGO ARニュース: ファン歓喜!デヴィッド・ボウイ大回顧展を追体験できる「DAVID BOWIE is」がリリース
不思議な絵の世界に迷い込んで記念撮影!上越科学館のトリックアート展
2018年7月14日から、新潟県上越市下門前の上越科学館では「4Dトリックアート展」が開催されました。トリックアートとは、目の錯覚を利用しただまし絵。毎年恒例となっている本展では、今回はじめてAR技術を導入しました。展示された15作品のうち3作品で使われています。そのなかには、サーフィンをしながら波に飲まれる動画や、絵から飛び出してくるペンギンを捕まえる動画が撮影できるというものがありました。撮影動画はスマートフォンに保存し公開することも可能となっています。本展示は8月26日まで開催。期間中は、家族連れでにぎわっていたようです。
全身で体験するアート!チームラボ プラネッツ TOKYO DMM.com
東京都江東区のteamLab Planets TOKYOに、北野武氏のDMM.com社テレビCMでも有名になったチームラボ株式会社のアート作品を体験できる空間「チームラボ プラネッツ TOKYO DMM.com」が、2018年7月から展開されています。
来場者は裸足になり、水の流れる坂道を歩いたり、うまく歩くことができない柔らかい床を進んだり、球体の間をくぐったりというように、アートを全身で体験。代表の猪子氏は、作品への没入、現実の感覚があいまいになる非日常感を味わってほしいと語っています。終了は2020年秋を予定しているとのことです。
表参道ビルを彩った、一面ピンクのARアート
表参道のB SPACEで2018年夏に開催されたインスタレーション(室内、野外での空間構成をおこなうアート表現)、「ADIRECTOR Vol.1『DOLLHOUSE』」では、ARを使った展示やパフォーマンスを見ることができました。
室内には、マネキン・ダンス・デュオ、FEMM(フェム)本人たちによるパフォーマンスとともに、ARライブ装置「ACRONS」を使用した映像コンテンツを用意。FEMMがホログラムのように浮かび、ダンスをしているさまを覗き込むことで世界観に没入できました。また最上階のDJブースでは、アプリを使うと誰でもライブ中の演出に加わることができました。このように、来場者を積極的にアート表現へと「参加」させたことも本企画の特徴。都会の真ん中で、異空間体験を可能にしたイベントでした。