ARISE Startup Sessionに行ってきました!
「日本発のグローバルARコミュニティを創る」「業界業種を超えて、より多くの人々がAR技術で価値を創造する」を実現させるために発足された、ARコミュニティイベント『ARISE』に参加してきました。ARISEでは、ARをどのように生活に浸透させていくのか、今後どのような市場が生まれるのか、ARの技術をどのように活用していくべきななどを、ARに関わる業界のひとたちが集い共有する場となっています。スタートアップセッションにて、さまざまなARに関する情報を得てきましたのでまとめてみました。
スタートアップセッションに登壇したのは
梶谷健人氏 / MESON CEO
ARクリエイティブスタジオMESONの代表。ARサービスのプランニング・体験デザインを主に手がける。大手グローバルブランドを含む複数企業にサービスデザインとグロースのコンサルティングも行っている。 「いちばんやさしいグロースハックの教本」の著者。2015年末まではVASILYでiQONという女性向けファッションサービスのGrowthを担当。 インド・アメリカにて現地スタートアップ向けにサービスデザインとグロースのメンタリング業務も経験している。
福田浩士氏 / meleap CEO
東京大学大学院卒業後、株式会社リクルートに就職。2014年に独立し、株式会社meleapを設立。“かめはめ波“を撃ちたいという想いからAR技術を活用し、ARスポーツ「HADO(ハドー)」を作りだす。現在、25カ国55箇所にHADOの店舗を展開。2016年からはAR/VR初の大会「HADO WORLD CUP」も開催。「テクノスポーツで世界に夢と希望を与える」というビジョンを掲げ、サッカーを超えるスポーツ市場の創造を目指す
伊藤武仙氏 / ホロラボ、COO
一般社団法人T.M.C.N、Co-founder 理事 株式会社ホロラボ / Co-Founder、取締役COO 株式会社for Our Kids Co-founder 取締役 エレクトロニクス関連の商社にて国際的な技術調査と新規事業立ち上げに従事後、センサー技術のコミュニティTMCN立ち上げに参加し、以後コミュニティを活動のベースとする。2016年には子ども向けテクノロジー学習の教材開発販売やワークショップを行うfor Our Kidsをコミュニティメンバーと設立。また2017年1月には、同じくコミュニティメンバーでMixed Realityシステム企画開発を行うホロラボを設立し取締役COOに就任。B2Bを中心にMixed Realityの普及に尽力する。
森本俊亨氏 / Graffity Inc CEO
1994年生まれ。Graffityの CEO。慶應義塾大学理工学部情報工学科にて機械学習を研究。ABEJA経営陣直下でのAI事業開発、PKSHA Technology AIアプリケーション開発、ドワンゴAIラボにてDeepLearningを利用した動画の次時刻予測の研究開発を経験。その後、2017年8月に同社を創業し、2018年12月に世界初のARシューティングバトル「ペチャバト 」をリリースしている。
スタートアップセッション
Q1.「各社から見る最もインパクトのあったニュースは?」
AR業界を牽引するスタートアップ経営者が注目する『nreal』
梶谷氏
「nrealの『nreal light』はデザインもスタイリッシュで普段使いにも十分使える、そして何よりも価格が5万円前後で手に入るというのが最もインパクトがありました。今までは、ARグラスを体験しても二度目は「おお~っ」とならないのに、初めてつけた3か月後に改めて装着したら、初めて装着した時と同じくらい感動しました。現在は、さまざまな会社とneal lightを使ったプロジェクトを仕掛けようと進めているところです」
森本氏
「本当は、『ウェアラブルはまだ来ない派』で、今日は『全然ウェアラブルは来ないよね』という話を用意していたのですが、実はnreal lightを昨日触ったんです。いざ触ってみると想像していた以上に性能も価格も良かったので、今までの考えは覆され、来年からウェアラブルありきの体験が立ち上がるんではないかと思っています。」
注目が集まる『nreal』とは?
元Magic Leapのエンジニアを中心に立ち上げられた中国のARハードウェアスタートアップで、「nreal light」というARグラスを開発しています。このグラス、登壇者のみなさんが絶賛するだけのことがあり、見た目はほぼ普通のサングラスというスタイリッシュさ、装着しているのを忘れるほど軽いことに加えて$499という安さ(日本円で5万円前後ですね)が話題をさらっています。ARグラスのクオリティのほどは、モデレーターであるARおじさんがアメリカで体験した際に、『これまで体験したARグラスの中で一番「目の前にある」感があった』と語っていました。nrealは、ARのこれからを大きく変える存在になりそうです。
docomoがARに本気でコミット?
今年一番気になったニュースは、「docomoがMagic Leapに300億円の投資」だという伊藤氏。
まず、どのようなニュースかというと、
大容量化、超高速、超低遅延の5G時代を迎えるに当たって各社がさまざまな準備を進めています。その中で、docomoは「マイネットワーク構想」を提唱していて、『5Gのスマホをハブにしながら、さまざまなデバイスがネットワークに接続されて活かされる情報を体感する時代、コンテンツとユーザーが会話するXR(AR、VRやMRの総称)』という考えで、空間コンピューティングの実現を目指すMagic Leapに投資し、これまでになかった業務効率化や、サービスを編み出す構想を持っています。
docomoが資本・業務提携を行った、Magic Leapとは、米国のフロリダに拠点を置くスタートアップ。Googleやアリババなどから巨額の資金調達を行い、ハードウェアの開発を行ってきました。2018年の8月にMRデバイスの開発者版、ヘッドセットと、プロセッサとバッテリーを内臓したLightpackと、コントローラーがセットになった「Magic Leap One Creator Magic Leap One Creators Edution」、手に持つコントローラーの販売開始しました。空間コンピューティングの実現を目指す中で必要とするのが、大容量で高速の5G、2018年には米国の最大手であるAT&Tとパートナーシップを結びました。これからは、情報を体感する時代で、コンテンツユーザーが会話するXRの時代と考えるdocomo。
伊藤氏
「docomoがMagic Leapに300億円投資するということは、コンシューマービジネスを中心とするdocomoがのようなキャリアが本気でARにコミットしたというメッセージなのかなと受け止めました。」
スポーツに求められるウェラブル
HADOを展開する福田氏の気になったニュースは...
「nreal lightもですが、ARkitが気になりました。6年前くらいからずっとARをみてきて、オクルージョン(手前にある物体が背後にある物体を隠して見えないようにする状態)や、ハンドトラッキングに注目しているのですが、4年前にもう来るかなと思っていた未来がまだ全然先だという印象があります。
HADOは、スポーツの場合は高いスペックが求められます。広い視野角が欲しいので、シースルー型のARデバイスを使いたいですね。90~100度は欲しいのですが、現時点ではまだまだなので、そこをどう広げていくかということ。今までも、色々と試してきたのですが、今のウェアラブグラスだと、動きに耐えられずに はずれてしまうとか、重すぎるなどの問題点もあったり、あとは視野の問題も大きいですね」
2019年の注目ニュースは、圧倒的にnreal lightで持ち切りでした。手軽な価格、ウェアラブルグラスがサングラスのようにファッショナブルに使用できるようになれば、ARがいっきに広がりを見せるのではないかと話を聞いていて思いました。
急速に進化するグラス型AR、クリエイターが注目するものは?
Q2: 2019年後半に注力すべきはスマホARか、グラス型ARか?
Q1でも話題に上がったnreal lightの登場によって、いっきにグラス型ARの可能性が高まったように思いますが、クリエイターはどのように感じているのでしょうか。
森本氏
「スマホのAR普及率が今年で60%くらい、来年は70%くらいになるといわれています。Mincraft Earthのような、既存のプロダクトにAR機能を付与したものが登場していくことで、一般の人たちが広く、そしてマルチプレイなどを通して共有していける、そんなケースが今年から来年にかけて増えていく時代になると考えています。」
「僕たちは、一般ユーザーを対象にすることにこだわっているからこそ、引き続きスマホARにフォーカスした事業展開をしてきたいと考えています。ただ、グラスに対しても、おもしろいアプリを出していきたい。研究開発としては、nreal lightを使うプロダクトはつくっていきたいと思っています。」
福田氏
「うちの会社のメインはスマホARです。スマホ単体で使うのではなく、ゴーグルにスマホを入れて使用します。それとは別にホロレンズも使ったコンテンツも同時に展開しています。ゲームっぽいコンテンツもありますが、事業の軸はスポーツ競技の開発や展開をしています。
スポーツのユーザーは、プレイヤーと観戦者という2つの層がいます。プレイヤーは基本的にデバイスを頭に装着しますが、観戦者はテレビやスマホで観るなど、その層は圧倒的に多様であるべきだと思っています。戦略としては、プレイヤーが1万人でもいいので、観戦するユーザーを10億人に増やすということ、どのメディアを見ても対応できるようにしていきたいなと思っています。」
梶谷氏
「スマホもグラスも両方ですが、フォーカスするのはグラスです。理由は2つ、1つはnreal lightのようにシチュエーションを限定すると実用的なデバイスができているということ。僕たちは、ブランドや百貨店のように場所をすでに持っている企業とパートナーを組んでコンシューマー向けのサービスをつくっているので、使えるものが十分出てきているから。もうひとつは、グラスネイティブなUX構築は、まだ世界的に見ても正解が見つけられていないので、試行錯誤をして、より知見を溜めたところが実際市場を立ち上げる時に有利なラインに立てるというのを実感しているからです。実際に、グラスARサービスの設計もしている中で、スマホARのUX前提だと設計できないところがかなりあって、その思考錯誤をしている時間が後々活きてくると考えています。グラスとスマホでは、情報の提示の仕方やインタラクションが明らかに違う、またデザインをどう変えていくのかという議論はしています。」
伊藤氏
「基本的には、スマホもグラスも共通化するようなやり方でやっています。僕たちはマイクロソフト社とガッツリな関係なので、マイクロソフト社の提供しているUIですすめていくことを中心にやっています。モジュールを並べると、空間に勝手に配置してくれたり、AIにお願いしたら動いたり。そういったことが少しずつ出てきているんです。」
現段階では、スマホもARグラスもバランス良く取り組まれているような印象を受けました。携帯電話の進化を考えてみると、ARグラスがより身近なものになったり、軽量化されてスポーツに対応したりという時代はそう遠くないのでは...と話を伺いながら思いました。
Q3.将来どのような道筋を描いてマーケットに自社プロダクトを普及させていくのか?
日々進化する中で確実な一歩ずつを歩む
福田氏
「HADOを広めるために、1万人プレイヤー10億人の観客を獲得できるような、参加型コンテンツ・競技を作っていこうと考えています。世界中のひとたちがバトルに参加して、そういう仕組みをつくって観客を巻き込んでいける競技にしようと考えています。海外の人が僕たちのプロダクトを観た時、最初にイメージするのが「かめはめ波」や「波動拳」なんですよ。ありがたいことに万国共通のキーワードです。そのおかげで、日々さまざまな国から問い合わせをいただいています。誰でも共感できる魅力というのがコンテンツの中にちゃんと入っているのが大切だと思うんです。スタートアップ全般に言えることだと思うのですが、やりたいことを実現するために、ビジョンの魅力を伝えて人を巻き込み、世界を動かす必要があります。どれだけ魅力的なビジョンを持っているのかが重要だと思います。5年後の未来を想像するのは難しくありませんが、大きなことを成し遂げるためにはもっと時間が掛かるので、さらに先の10年後にどれだけワクワクするミライを描けているのかが大切だと思っています。言語が必要ないこと、見ればわかる、やればわかる、説明は少しするけど頑張らなくてもいい、というのがARの魅力、見てすぐにおもしろさが分かることがARの良いところなのでは。」
森本氏
「Googleのように数億のユーザーを抱えているアプリをいくつも持っているような、グローバルにARのサービスを展開するカンパニーを目指すというビジョンを描いています。最終的な売上の着地は海外比率の方が高く、僕たちはグローバルを意識した戦略を引いています。ミッションとしては、『ARでリアルを遊べ』と言っていて、AR×エンタメにフォーカスしています。イメージで言うと、ARエンタメにおける任天堂のようなポジションをつくりたいと思っています。
ペチャバトは目の前にいる人としか遊べないので、一般的なゲームと比べるとリテンションが低くなるという課題があり、リニューアルが必要だと思っています。国内は、自分たちのホームベースとして、ここでしっかりと事例をつくってできたものを海外に送り出すような形を考えています。最終的には、自社IPを作っていきつつ、スプラトゥーンや、モンスターハンターなどARと掛け合わせたらおもしろいものが日本にはたくさんあるので、そういった所と、海外に向けていっしょにできればという戦略も描いています。」
梶谷氏
「先のビジョンを描く、グローバルを狙っていくというのは大前提としてはありますが、道筋としてはあえて描いていません。なぜなら、スタートアップは道筋よりも入口とタイミングで全てが決まると思っているからです。ARは不確実性の高い業界なので、いつどういうユースケースでアクセルを踏むかが全て。仮に今、道筋を引いたとしても間違えることもある、どういうユースケースで刺していくか、いつアクセルを踏むかということだけは間違えないようにすることを心に留めています。さまざまなブランドやデータを持っている会社と組んで、ひたすら検証を繰り返すというのが僕たちの戦略です。パートナー企業とは、指向性に合う会社『バイブスが合う』人や企業としか仕事をしないようにしています。その際には、ビジョンをよく話し合い、向かう方向性については合意を取り、そこを目指してやっていくことを意識しています。」
伊藤氏
「僕たちは『ホロレンズおもしろいから会社をつくろうぜ!』と始まった会社なんです。具体的な戦略やブレイクダウンはあまり決めていません。必要なパートナーやパートナー候補はちゃんと周りにいます。ドラクエ風に言うと、「仲間になりたそうにこっちを見ている」ことが多いですね。前の会社は、PDCAサイクル(計画→実行→検証→改善)を用いて新規事業をやっていたんですけど、それだと生き残っていけないと思う。OODAループ(観察→状況判断→意思決定→行動)で、短いスパンで探索をかけて、分からない中で動くことをやる上でパートナーシップは不可欠ですね。どうすればパートナー企業の文化に合うかというところまで考えてやっています。」
ないものを生み出すために仲間を選ぶことの重要さ
Q4.いっしょに働くチームメンバーの採用で意識している点を教えてください。
梶谷氏
「採用する上で意識していることは2つあります。
1.スキルの幅を自分で広げられる人。
理由は、今までのスマホやPC、WEBのスキルとは違って、ARサービスのデザインは『空間的なデザイン』になります。建築的な要素や空間のUX設計の新しい知識などを積極的に自分でキャッチアップできる資質が必要。
2.戦略やプロダクトが変わる前提で経営をしているので、臨機応変に対応ができる人、事業が変わっても活躍できる人。
ARの空間的かつ五感のデザインになるので、サウンドエンジニアや空間デザインなど、特殊なスキルが必要なシーンがあるので、個人のフリーのクリエイターをチームに巻き込んで、プロジェクトごとにコラボレートしていくということを意識的にやっています。個人のクリエイターはおもしろいものしかやらない人が多いんですよね。できるできないを別としておもしろいプロジェクトを持っていき、それをできる人たちを気合で集めるようにしています。すると結果的にいい人たちといいものができるということになります。」
福田氏
「会社を設立してから5年と少し経ちました。採用するうえで、ビジョンを一番大切にしています。次に大切なのはバリューで、ビジョンをどのように実現するかを言語化したものです。そこに共感してくれる人を採用したいと考えています。なので、事業と働き方に共感しない人は採用しません。少しでも違和感を感じたら採らないという、絶対に妥協しないことを大切にしています。」
森本氏
「ARという未来に懸けることができる人、更にはエンタメ好きという人は僕たちの会社に合っていると思います。中でもイノベーションに取り組みたい人は超絶ウェルカムです。ARの技術にゲームや、エンターテイメントなどを知っているという要素をミックスすると、ペチャバトのような、イノベーティブだけど滑らかな中高生のユーザーが使うプロダクトにつながります。そのようなことを得意とする人を採用させてもらっています。」
伊藤氏
「募集要項に『ホロレンズ所有』って書いています。半分冗談で半分本気なんですが、デバイスが好きな人と一緒に仕事がしたいと思っています。例えば、『nreal light』のようなものが出た!となると、居ても立ってもいられず、自分のお小遣いで買ってしまうような人がホロラボに集まってきていると思っています。そういう人たちは細かな指示をしなくても、モチベーションがあるのでいちいち指示を出さずとも勝手に考えて進めてくれるんです。そういう人たちがイキイキと働ける会社にしなければと思っています。」
ARを使い自分たちの活きるフィールドをつくる
Q5.ARの企画や開発の経験や知識を蓄積し、強味とするために取り組んでいることを教えてください。
伊藤氏
「まだ小さな会社なので、案件を取る時のコスト審査が厳しいですね。例えば、そのコストに目をつぶって受ける時も、なにかホロラボという会社に学びが残るプロジェクトを優先しています。積極的に新しいことに挑戦し、会社に実績を残すことを意識しています。」
梶谷氏
「1.海外の一次情報に当たること 2.自分たちで教科書をつくるということを意識する。この2つを意識しています。海外は圧倒的に発信している人の数、情報量が違うのでリサーチしたり、ARのカンファレンスにも出席するようにしています。ARの開発や、サービスデザイン、コンセプトメイキングなど、どれを取ってもまだ正解がないので、自分たちでつくっていかなければならないと考えています。デザイン思考を海外で実践してきたものあり、それをうまく取り入れてARサービスのサービスブランディングのプロセスをチームで整備したりしています。また、AR業界に向けて記事などで発信することもしています。ARをすでに使っている者からすると当たり前のことも初めて触る人にとって分からないことというのが多々あります。ユーザーテストをすると、細かいリテラシーギャップが分かるので定期的にするようにしています。ソフトウェアの会社なのですが、ハードウェア側の知見を溜めることも大切だと思い、研究開発チームにハードウェアをつくる人を入れてオリジナルでARデバイスを作ってもらったりもしています。」
福田氏
「HADOに関しては、スポーツなので、反復横跳びがすごいとか身体能力の高いデバッカーを採用して週3回プレイしてもらっています。僕も混ぜてもらうのですがヘトヘトになって帰りますね。(笑)実際にプレイする様子を見たり、自分でやってみることも重要だと思っています。HADOは、店舗に一人で来てコンピューター相手に練習をするといった使われ方もします。だからこそユーザーテストは重要なのですが、もう少し長期的な目線でいうと、研究チームがいた方がいいと思っています。なので、3人目の正社員は研究開発に特化したメンバーとして採用しました。そこをもっと強化していきたいと思っています。」
森本氏
「僕たちがつくっているのは、一般ユーザーに向けてのサービスなので、ユーザーに実際に触ってもらわないと改善点を見つけることができない。そのため、2週間に1度、女子高生や男子高生に実際にプレイしてもらいます。その中で、約10個ほど改善点が見つかります。その数から換算すると、年間で240個。この失敗と試行錯誤がまさに僕たちの知識、知見となります。昔は、サボってヒアリングしなかったこともあるのですが、それではダメだと思いました。ARは屋内と屋外では全然違う、様々なシチュエーションがある中で、ヒアリングしてブラシュアップしていくことにこそ価値があると考えています。他にもプロトタイプをペチャバトを出す前に2つ、リリース後も7つ作りました。ユーザヒアリングベースでいいものを残したいし、最先端の技術を使ったものは作ってみないと使えるかどうかも分からないこともある、このようなことにすぐに着手できる体制は作っていて、今後も続けたいと思っています。他にも海外の論文を追い一次情報を得るようにしています。AIと同じで、どのくらいの期間でARの技術がスマホに入ってくるといったロードマップをつくり、それをベースにして戦略に落とし込んで社内のナレッジ化しています。」
~まとめ~
ARの現在地はいったいどこなのか。AIの進化、5Gへの移行など、ARやMR、VRの活用法など、遠浅の海の浅瀬に入りながら壮大な景色を眺める。エンジニアやクリエイターがその海をどのように制覇してやろうかと、あの手この手を考えている。まるで映画のワンシーンのような時代に私たちは立っているのではないかと、ぼんやりと考えることがあります。登壇された方々の話を聞きながら、進化するARグラス、ARにまつわる様々な最新技術を柔軟に取り入れ、対応しつつ前進しておもしろいものをつくりあげていく姿に頼もしさを感じざるを得ませんでした。今は、一般の人たちが『AR』という言葉や概念をふんわりとしか理解できていないので、ゆるやかな浸透段階ですが、もしそこが落とし込まれたら驚くほど私たちの生活に溶け込むもののひとつになる。ipodから始まり、iphoneに進化したことを思うと、ARがもっと当たり前になる時代が、もうすぐそこまで来ているんだと感じることができました。
INFO
イベント情報 ARコミュニティイベント「ARISE」
開催日:2019年8月3日(土)11時~
場所:Abema Towers
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町40番1号 Abema Towers
ARISE #1 参加登録はこちらからできます。