AR(拡張現実)のトレンド・事例がココにアル「アルゴ」

TOP > MEDIA > いってみた > 「ARは妄想を具現化するためのテクノロジー」ARエンターテイメントを産み出すENDROLL社インタビュー

「ARは妄想を具現化するためのテクノロジー」ARエンターテイメントを産み出すENDROLL社インタビュー

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る


こんにちは! ARGO編集部のちかです。
ARGOではARを使ったサービスやイベントなどを情報発信していますが、今回はARエンターテイメントを企画開発する株式会社ENDROLLへのインタビューをお届けします。

株式会社ENDROLLは渋谷でのリアルAR謎解きゲーム「渋谷パラレルパラドックス」、株式会社アカツキライブエンターテインメントの運営するアソビルでの館内周遊型ARゲーム「アソビルパーティ〜とびだせ!アソビルモンスター」などをはじめとしたARエンターテイメントを企画、開発する会社です。

今回はそのENDROLL社の代表取締役 前元健志氏と同じく取締役の大島佑斗氏にお話を伺いました。

「村人Aに魂を吹き込む」ユニークな企業ミッションの裏側とは

ARGO編集部 ちか(以下ちか):まずはENDROLL社について教えてください。

株式会社ENDROLL 前元(以下前元):弊社は「ARエンターテイメント」の企画開発をしています。弊社のつくるエンターテイメントには2つの特徴があります。 ひとつは「ユーザーが一人称の主人公であること」、もうひとつは「ユーザーが普段見ている景色を非日常にすること」。というのも弊社のミッションが「村人Aに魂を吹き込む」というなかなかわかりにくいものになっています。

要は何がしたいかというと、みんな子供の頃にヒーローに憧れたり、自分は何かの物語の主人公だと考えたりした経験あると思うんですよね。でも大人になるにつれて「やっぱり自分はこんなもんか」と思ってしまう人が多い。僕たちは「自分は世界の中心ではない人」つまりは「村人A」になってしまった人にもう一度主人公になってもらおうというのが弊社の大切なコンセプトです。

ちか:社名の由来は?

株式会社ENDROLL 大島(以下大島):ソーシャルゲームの台頭により本来の意味で「ゲームの終わり」を経験することが少なくなってきていると感じています。ロールプレイングゲーム、ゲームだけではなく映画も小説も終わりがあるからコンテンツとして面白さ、価値が成り立つと考えています。僕たちは「終わる瞬間に一番心が動くコンテンツを作る」つまりエンドロールをちゃんと作ろうと考えたので社名をENDROLLとしました。

前元:会社のミッションとかコンセプトからARかつゲームっていう不透明な市場を選択したわけですが創業したタイミングで弊社にはエンジニアもデザイナーもいませんでした。

ちか:えっ(笑)

前元:「ゲーム開発したことある?」「ない」、「デザイン」「ない」、どうしよう、みたいな状況でした。 創業メンバーは全員これまでビジネスサイドしか経験していなかったんです。だから創業のタイミングで「君はエンジニアだ」「僕はデザイナーだ」「企画はもう全部任せた」みたいに役割分担をしました。そして最初の三ヶ月ぐらいはひたすら制作です。寝る間も惜しんで、ただただ自分たちがコンテンツを作ることができるように努めていました。

ちか:全員がやりながら学ぶスタイルでやってこられたんですね。 それでは、「渋谷パラレルパラドックス」についてお聞きしてもいいですか?きっかけや準備期間でこだわった点などについて教えてください。

大島:そもそものきっかけとしては、東急鉄道さんが渋谷をクリエイティブとテクノロジーの街にしていきたいという思想があったんですね。そのなかで新しい試みをしたいということで、渋谷という街自体を使ったエンターテイメントを考えていたみたいです。そこで弊社が2018年にクローズドβという形でテストした「ノンフィクション・レポート 」を知ってくれていたようで弊社にお声がけいただきました。

またイベントのコンセプト的な話になるのですが、渋谷という良くも悪くも若者の街なので、ちょっと裏路地に入ったら壁にペイントがされている所がたくさんあるじゃないですか。それをどうにかしたいということで、元から東急さん自体も「ROADCAST 」という社内ベンチャーのような取り組みもされていました。 ROADCASTでは渋谷の街全体を美術館として各所にアートや広告を配置しています。各アートの回遊施策として渋谷パラレルパラドックスの企画に繋がっていったわけです。渋谷パラレルパラドックスは「展示されているアートがもし盗まれたら」という設定で謎解きゲームを作っていきました。

前元:渋谷パラレルパラドックスでは企画にとても時間がかかりました。「ARの良さ」を引き出すことがすごく難しいことだと感じたんです。僕らは「ARを使うことによって、人が妄想していたことを具現化すること」を大事にしてるんですね。 つまりは「普通だと体験できなかった世界観に引きずり込むこと」というものがすごく大事だと思っていて。今回の渋谷パラレルパラドックスではタイムリープのシナリオをARで再現するということに僕らはすごく意味を感じていたし、せっかくだから人間の妄想という感性を、拡張してあげられないといけないよねと考えていました。

ちか:渋谷パラレルパラドックスで難しかったことはありますか?

前元:人によってはご心配をおかけしている部分なんですが、「屋外でARゲームをプレイする」ことは実はとても危ないです。「歩きスマホ」を助長していると言われればそれまでなわけです。企画の段階でこの部分をどうしようか悩みました。

ただ歩きスマホって危ないんじゃないかっていう倫理観のブレイクスルーは、結局僕らが壊さなきゃいけない。屋外でARゲームをプレイする安全性をどう考えるかという視点に立たないとARは豊かにはならないと思ったんです。

渋谷パラレルパラドックスを通してわかったこととしては年代によって見方が変わることです。歩きスマホを危険視するお客様は年配の方に多く、若い方は屋外のARゲームを面白がって自然と周囲に配慮してプレイしてくれていました。ある種の社会実験なったという意味でもいいチャレンジだったと思っています。

大島:安全性の担保については東急電鉄さんとも進めまして、導線で使う場所は全て交通状況などを調査して車や人通りが少ないところにしています。

ちか:ありがとうございます。Twitterでは渋谷パラレルパラドックスに参加した人のツイートが沢山あって結構満足度が高いのかなと思ったのですがいかがですか?

前元:お客様からの評価で言うと、アンケート結果での満足度は3.4くらいでした。(最高が4.0)評価いただいているポイントとしてはARの部分がダントツで評価いただきました。ただストーリーの分かりにくさについて言及いただいた部分があって悔しい思いもしましたし、スマホのバッテリーの消費スピードが早い部分なども改善の余地が見つかってよかったと思っています。

知識を得るのではなく検証を通してARを突き詰める

ちか:ありがとうございます。 次にARのお話をしたいなと思います。北米を中心にARの注目度が上がっていますがその背景をどのように考えていますか。

前元:GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazonの4社を指す言葉)の動きを見ていて強く思うのは、例えば一番始めにVRを頑張り始めたのはFacebookだったじゃないですか。 FacebookはAppleのApp Storeのなかで生きている会社なので、ビジネス構造の逆転を狙うタイミングを常に図っているはずです。おそらくそのキーがARです。

間違いなくまずARグラスというデバイスは、スマートフォンの次のメインデバイスになることは断言できると思います。コンピュータと人との関わり方の歴史を考えると、これまでコンピュータと人は距離がどんどん近くなってきました。となるとスマートフォンの次は常時コンピュータと接続することができるARグラスになると考えています。

ちか:ARでどんなアプリケーション、サービスが今後盛り上がると考えていますか?

前元:最近注目したものだと、今年中国のBLUE HAT(BLUE HAT INTERACTIVE ENTERTAINMENT TECHNOLOGY)という会社がNASDAQ で上場しました。これは業界的には色々前代未聞じゃないですか。ARの会社が上場するっていうのもそうですし、彼らのプロダクトって僕らが想像しているARじゃない。ARレーシングゲームって言ってスマートフォンの上におもちゃの車を乗せて遊ぶんですが、端末を傾けるとゲーム内で車が動くんです。実際売上としてはおもちゃの車の販売で成り立っているようです。

大島:また、知育系も注目しています。LITALICOさんの「はみがき勇者 」みたいに、ゲームを通して子供に正しい歯みがきの仕方を教えられるような「学べるゲーム」は面白いと思っていますね。これはシリアスゲームと呼ばれていて、エンターテイメント性だけじゃなくてゲームを通して社会問題を解決するようなゲームとして注目しています。

それ以外で言うと、ARがマッチすると言われるのは、歴史系・トライアル系・旅行系の3つだと思うのですが、この中からARの市場浸透につながるキラーコンテンツが生まれてほしいなと思っています。

ちか:ARの業界で注目している人を教えてください。

大島:僕たちは世界最大のARコミュニティ「AWE(Augmented World Expo)」の東京支部「AWE Nite Tokyo」を設立しました。AWE Nite TokyoのメンバーであるMESON社とGraffity社の動きは見ておいたほうがいいと思います。両社ともARで挑戦的なことをされているので。

他ではメルカリ社のR4Dの方々はARグラスに関してとても詳しいですし、近い内でいうとテレパシージャパン社の日高さんという方もグラスに関してとても詳しいです。

ただ、本当にARを突き詰めたいとなってくると、知識だけじゃダメで自分達で作ったサービスを人に実際使ってもったりしてUXを突き詰めないいけないと考えています。現在展開している、横浜アソビルでの「アソビルパーティ~とびだせ!アソビルモンスター~」に関しても、開発当初僕らもこういうの面白いよねってものを作って知り合いの子供たちにテスターとして遊んでもらったのですが、大人とは全然違う反応で全然つまらなそうに「もうやだっ!」って言っていたりして(笑)

前元:逆に僕たちがこれじゃ味気ないなってものは逆に離さないんですよね。

前元:ARは特に日本国内外を含めて正解がまだ出てないところだと思うので、ネットサーフィンだと結構しんどい思いをします。強いて言うのであれば青絵さんとか自分で作ったコンテンツのデモをTwitterで流して、反応を見ながら編集をされている方って国内外でたくさんいるので、それを見て何かタネを見つけるのが具体的にいいと思います。

ちか:ありがとうございます。 最後にENDROLLのロードマップを教えてください。

前元:渋谷パラレルパラドックス、そしてアソビルさんでのアソビルパーティーに続いて9月にも仕込んでいる企画があります。受託のお仕事メインにしていると思われるのですが、構想としては自社サービスの展開で考えています。

ENDROLLのロードマップというか戦略は詰将棋をやっているようなイメージで組んでいます。ゲーム会社だとホームラン級のタイトルが出るまで打ち続けようってスタイルも多いと思うんですが、僕たちは「勝つための資産」は何か?を考え抜くようにしていて、その中で出たアイデアが現在取り組んでいる座組みですね。

大島:どこを攻めていくか、一番面白くて楽しくて意義があるか、ということを日々考えながら働いているので、ENDROLLというゲームにのめり込んでいる感覚が強いです。絶賛採用にも力を入れているので、興味を持った方は是非ご連絡ください!

採用情報はこちら

INFO

関連リンク

  1. 株式会社ENDROLL 公式サイト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

ABOUT ARGO

ARGO(アルゴ)とは、スターティアラボが運営するAR情報配信メディアです。AR(拡張現実)と、行こうを意味するGOをかけあわせてARGOと名付けました。ARに関するトレンドや事例、海外情報、実際のAR体験レポートなどのコンテンツをお届けします。

SOLUTION