ARで室内温度や気流を可視化!安藤ハザマと富士ソフトが「環境ウォッチ」を共同開発
ARで物内の温度や気流を目で見ることができる技術「環境ウォッチ」が開発・発表されました。工場などの生産施設の新築やリニューアルなどを手掛ける株式会社安藤ハザマと、機械制御などの組み込み系ソフトウェアや業務系ソフトウェアを手掛ける富士ソフト株式会社の共同開発となっています。
安藤ハザマ社は、室内の気流分布や温度を可視化する方法としてARに注目し、マイクロソフト社が開発したゴーグル型のMR端末「HoloLens(ホロレンズ)」と温度や気流の事前解析・計測結果のデータを連携させ、開発しました。「環境ウォッチ」と名付けられたこの端末を装着することで、現在の温度や気流が現実空間と重ね合わせて表示されます。この端末が開発された背景としては、空調計画の意図やイメージを空調設計者、施工者、建物利用者の間で共有し、快適な室内環境を建物利用者に提供したいという思いがあるそうです。
環境ウォッチには以下の特長があります。
- ・ARを使い、現実空間と結び付けることで、専門知識がなくても簡単に理解できる
- ・現実空間と3Dオブジェクトが統一された座標系で結びついているため、空間を動き回っても表示がぶれない
- ・現実空間内の特徴的な形状を不動点(固定点)と定めるため、特別なマーカーを設置する必要がない
- ・解析や計測によって収集した温度や気流分布データは、さまざまなファイル形式で端末へ入力が可能
- ・融通性が高く、BIM(コンピュータ上に再現した3次元の建物デジタルモデルにコストや材料などの情報を追加したもの)との親和性が高い
- ・1つの解析、計測結果に対してさまざまな表示方法を選択できる
安藤ハザマ社の技術研究所で開催された技術フェアで先行発表したところ、ストレスのない使い心地や周りに人がいた場合でも自分の位置を見失いにくい点などに高評価が集まり、実際の現場でも活用できることを確認できたとのことです。
今後の展望としては、竣工検査時の空調設備の確認や室内温度計測の支援、建物の引き渡しの際の顧客とのコミュニケーションツールとして、施工現場へ積極的に展開を図りたいとのことです。
さらに、サーモグラフィーなどのさまざまな計測装置との連携を確立し、リアルタイムでの温度分布の可視化も視野にいれ、また汚染物質など、表示対象の幅を広げることを課題として、さらなる高い技術の開発を進めていくそうです。
ARGO編集部のひとこと
環境ウォッチを使うと、通常は目に見えない情報である「温度」「気流」を目に見えるARという形で現実空間に重ねて表示させられます。数値などでしか計測できない対象をARによって可視化させられることで、業務効率を大いに向上させられることでしょう。