目の疾患を治療するARデバイスをPixium Vision社が開発!加齢黄斑変性などに有効
ARデバイスを使って目の病気を治すシステムを、フランスのスタートアップ企業Pixium VisionPixium Vision社が開発しました。
出典:Mogura VR
加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)は人の視力を奪う疾患のひとつです。加齢によって黄斑(眼の網膜中心部にある光を感じる部分が一番高い部位)に傷害(変性)が生じ、視界のゆがみや視力障害が発生。重度の場合は失明に至ることもあります。
そこでPixium VisionはARグラスと「Primaシステム」と呼ばれるインプラントを組み合わせた治療法を開発しました。臨床試験の結果、5名の加齢性黄斑変性症患者の半数に効果が現れました。視力0.05以下の被験者の過半数が、約12ヶ月のリハビリによって文字や文字列を識別できるようになったのです。また認識スピードも次第に向上したといいます。デバイスの使用に伴う副作用も見られませんでした。
出典:Mogura VR
Primaシステムは、ARグラスと小型でワイヤレスの光電池式網膜下インプラントを使用します。378の電極を持つチップを網膜の下に埋め込み、光を電気に変換して動作します。
Pixium Vision社CEO・Lloyd Diamond氏は「チップを視細胞の位置に直接埋め込むことで、電気信号が網膜神経節細胞に到達する前に、網膜下刺激は(網膜)双極細胞に向かいます。我々は、より正確な生理学的信号の処理を目指しています」と同社の技術についてコメントしています。
同社はPrimaシステムのアップグレードに関するテストを欧州と北米で並行して実施しています。2020年上半期には治療法としての申請に向けた試験を開始予定しており、欧州及び北米市場でのリリースを目指しています。
ARGO編集部のひとこと
加齢黄斑変性は欧米では成人の失明原因の第1位で、日本でも第4位にランクインするほどです。国内の患者数は約70万人と推定されていますが、人口の高齢化に伴いさらなる増加が懸念されています。そんななかでAR技術を使った「Primaシステム」の開発は非常に有益であるといえるでしょう。医療分野でもAR技術は用いられており、活用規模と質の両方において進化を続けています。