福祉・医療分野に活用されるAR。一般社団法人デフサポートかもめが聴覚障がい者向けに提供する観光サービスとは
一般社団法人デフサポートかもめとは
デフサポートかもめ は、2017年9月1日に一般社団法人格を取得した神戸市中央区の聴覚障がい者支援団体です。当団体は、成長目覚ましいIT関連技術を利用することで、コミュニケーションと情報の取得に大きなハンディギャップを抱えている聴覚障がい者の自立を手助けし、さらにバラエティに富んだコミュニケーションを開発していくことで一般の市民社会に大きく寄与します。
2019年4月現在、「手話動画マガジンDVD」9巻の発行、各種の学習会・手話教室の実施、「手話が視覚を生かした言語である」の立証に加え、AR技術を活用した手話動画ガイドを作成することで情報格差を埋めていく取り組みをおこなっています。
また、同団体は2018年度「神戸市中央区赤い羽根地域づくり助成事業」において、神戸市中央区社会福祉協議会 から助成金が交付されており、神戸市中央区の聴覚障がい者に対する観光利便性の向上に期待が寄せられています。
ARサービス「北野手話動画ガイド」
2019年1月より、当団体は聴覚障がい者が神戸・北野の異人館街を観光する際に、スマートフォンで手話ガイドを視聴できるARサービスを開始しました。
当サービスは、専用のパンフレットをARアプリ「COCOAR」を起動したスマートフォンでかざすと、施設や展示物の前で手話による解説動画を視聴することができるというもので、利用できる施設は「うろこの家」や「坂の上の異人館」などの8カ所。ウェブサイトでは、手話でアプリのダウンロード方法を紹介した動画も公開されています。
なぜARを導入したのか
デフサポートかもめは当初、「北野手話動画ガイド」をDVDとして作成することを検討しましたが、プレーヤーに挿入する手間がかかるDVDでは、多くの人に視聴してもらえないというデメリットがありました。そこで、印刷物にスマートフォンをかざすだけで手話ガイドを視聴することができるARの導入を決定しました。
ブログに宣伝動画を載せて告知したところ、アクセス数も上々。AR動画を利用した人からは好評とのことです。今後は、よりパンフレットのコンテンツを充実させ、写真にかざして映像を見たいと思わせる工夫をしていきたいとのことでした。
ARGO編集部の一言
カリフォルニア工科大学がマイクロソフト社のMRデバイスHoloLensを用いて視覚障がい者向けのナビゲーションシステムを開発したり、名古屋の福祉施設がロシアのUniversal Terminal Systemsが開発したAR設備「iSandBOX」を導入したりするなど、医療・福祉分野における近年のARの活躍は目覚ましいものがあります。
外出が思うように出来ない要介護者のための旅行体験や、医療従事者の学習のための認知症体験など、さまざまな両方法が考えられます。ゲームやアプリといったエンターテインメント業界での導入が脚光を浴びがちなARですが、今後、医療・福祉分野における活用から目が離せません。