巨大なゾウが空を飛ぶ!GINZA SIXが世界に誇る「体験」型アートとは
GINZA SIX CHRISTMAS 2018 "Fantastic Gift"
~「冬の王国」と「夏の王国」の物語~
GINZA SIXは、2018年のクリスマス企画として、11月12日~12月25日に「GINZA SIX CHRISTMAS 2018 "Fantastic Gift"~「冬の王国」と「夏の王国」の物語~」を開催。建物の象徴的な中央吹き抜け空間には、高さ約3m、全長4mを超える「光るぞう」が出現。銀座中央通りに面した正面エントランス(2カ所)には、「夏の王国」と「冬の王国」のゲートが出現し、館内のショーウィンドウやエスカレーター、柱などには期間限定のアートが飾られました。
本イベントを手掛けたのは、東京を拠点に活動するパリ生まれの現代美術家ニコラ・ビュフ氏。ヨーロッパの伝統的な、中世、ルネサンスやバロックの作品を背景に、日本のアニメやアメリカ由来のサブカルチャーを融合し、「Serio Ludere(真剣に遊ぶ)」のヒューマニスト的概念に基づいた独特の世界観を創造するアーティストです。
今回の装飾は、単なる個別のアートではなく、一つひとつの作品がニコラ氏によるオリジナルストーリーのワンシーンとして制作されました。物語は、地球の真反対にある「夏の王国」と「冬の王国」の王様が、それぞれ自分の子どもが引き起こす問題に困っていたところ、「春共和国」と「秋共和国」の小さな天使「プッティ」のアイデアによって「光るぞう」と「冷たいアイスクリーム」を贈りあい、両国に平和が訪れた、というもの。大切な人にギフトを贈る行為によって人と人との絆がより暖かなものになるという、クリスマスらしいメッセージが込められています。
このストーリーの世界観をユーザーにより感じてもらうため、GINZA SIXはイベントにAR機能を採用しました。専用アプリ「 COCOAR 」を起動したスマートフォンを、各アートや店頭POPにかざすと、物語のキャラクターが動きだし、その作品で再現されたストーリーを確認できるというもの。魅力的なキャラクターたちが画面上で繰り広げる迫力満点の動画は、記念に撮影することもできました。
また、クリスマスツリーの装飾にかざすと、画面上に雪が飛び出してくるような冬らしい演出もおこなわれました。
GINZA SIXの経営理念とイベント開催に至るまで
GINZA SIXは「ワールドクラス」を標榜し、世界のコレクションで注目される旬なブランドをそろえ、世界の最新トレンドが体感できる店舗ラインナップを実現しています。また、GINZA SIXは「体験」を提供する時間消費型の施設でもあり、お客様には「お買い物の場所」だけではなく、「上質な体験」を提供することを常に考えています。
開業当初は、GINZA SIXの顔として草間彌生氏のバルーンインスタレーションが展示され、「インスタ映え」する作品として一躍大きな注目を集め、2017年のクリスマスは、本物の雪でつくられたスノーマンが登場するなど、まるでスノードームの中に入り込んだような感覚を体験することができました。また、中央エントランスではバルーンアーティストが作る約4mのクリスマスベルが出現し、中央通り側の吹抜けリビングウォールにはチームラボによる映像作品が投影されるなど、お客様がGINZA SIXで過ごす時間を楽しめる工夫がなされてきました。
2018年は、各コンテンツどうしのストーリーをつなぎ、より強く打ち出せる演出をおこなうために、全館に統一したテーマでアートを展示したいと考えました。そこで、手掛けるアートには常に「物語」がベースにあるニコラ氏を起用することとなりました。
ニコラ氏の「ストーリーを伝える」というこだわりと、GINZA SIXの「上質な体験の提供」というこだわりを融合し、アートを体験型の物へ昇華させる。そのためのアイディアの一つとして、AR導入という考えに至りました。ARが両者のこだわりの橋渡しになったのです。
「コト消費」が進み、より「体験」重視の世界に
今回のイベントでは、「体験」を与えるという目的でARが用いられています。近年は、低価格で「体験」を提供できるサービスが重要視される傾向にあり、岐阜県博物館の恐竜展示や東京都立川市の国文学研究資料館などでもARを使った体験展示がおこなわれています。
大規模小売店舗に着目してみても、今回の事例であるGINZA SIXをはじめ、様々な商業施設で体験型の取組みが積極的におこなわれていることから、お客様の消費傾向が「モノ消費」から「コト消費」へ変化していることがわかります。もはや、お客様が商業施設に求めるものは買い物をするための場所ではなく、楽しい体験を与えてくれる場所としての店舗になりつつあるのです。
今後、「コト消費」が進んで「体験」を利用する施設が増えていくのに伴い、商業施設などにおけるARの活躍はますます期待されることでしょう。