【東海】日本全国のAR活用事例をまとめてみた⑤
地域ごとに最新のAR活用事例をまとめたシリーズ記事第3弾です。今回は【東海】(岐阜、愛知、静岡、三重、和歌山)エリアをご紹介します。
もくじ
【期間限定】
1ARで誘客促進を図る 愛知県のARスタンプラリー&クイズラリー
2施設内の回遊対策に有効!静岡県で行われた2つのARイベント
3音声ARで新しい体験型観光を 和歌山県の「友ヶ島第3砲台美術館」
【常設展】
4観光地の魅力を引き出す!地域の特色を生かした岐阜・愛知のAR観光アプリ
5ARで展示品への理解を深める「ヤマザキマザック工作機械博物館」
こんにちは!ARGO編集部のムラキです。
地域別AR活用事例第5弾では…【東海】エリアをお届けします。
具体的な地名としては、岐阜・愛知・静岡・三重・和歌山の5つ。(事例数の関係で都道府県調整しています…!)
日本で3番目に大きい飛騨山脈や、独特の形をした屋根を持つ世界文化遺産「白川郷」、金鯱(きんしゃち)がトレードマークの愛知県名古屋城に、静岡県の「さわやか」ハンバーグや三重県にある伊勢神宮などなど、魅力的な観光地が満載なエリアです(^o^)
(個人的に行ってみたい&再訪してみたいところを挙げてしまいました笑)
そんな美しい自然や日本の伝統が色濃く残る東海エリアで、どんなAR企画が行われているのでしょうか(^^♪
それではさっそくご紹介していきます!
【期間限定】
ARで誘客促進を目指す!愛知県のARスタンプラリー&クイズラリー
愛知県農業水産局水産課は2019年7月15日(月・祝)から2019年12月31日(火)までの間、ARスポットラリー「あいちのおさかなスポットラリー」を実施しました。
本企画はあさり、うなぎ、しらす、のり、めひかり、干物のいずれかの品目を提供する産地の小売店や飲食店などにある「おさかなスポット」を、写真の投稿や動画の視聴をしながら巡るというものです。コースはフォトラリーとムービーラリーの2種類。ムービーラリーにはAR動画が取り入れられ、視聴後に出てくる6つのキーワードを集めて応募すると、フォトラリーとあわせて抽選で120名に豪華景品が贈られます。
また、同年12月21日(土)~2020年2月24日(月・振休)には愛知県豊根村で「とよね村ぐるっとクイズラリー」では、ARスタンプラリーが開催されました。専用アプリ「COCOAR」をインストールし、対象ポイント3ヶ所(茶臼山高原スキー場、道の駅・豊根グリーンポート宮嶋、湯~らんどパルとよね)に設置されているARパネルにアプリをかざすと、「クイズでオリジナルフォトフレーム」と「豊根村スタンプラリー」の2つのイベントを楽しめます。
本企画は、人口減少が進む山間地域の誘客施策として行われました。若年世代やファミリー層に楽しんでもらうために、スマホを使ったAR活用を思いついたとのことです。
地域活性化施策として、ARを使ったスタンプラリーやクイズラリーが数多く行われています。ARイベントの実施により、滞在時間や回遊率の増加や、新規客へのプロモーション効果が期待できるほか、ログデータ(アクセス数、年代別、性別、地域別など)の取得も可能。イベントの効果測定としても有効です。
ARGO:ロイヤルフィッシュの名産地!愛知県豊根村にてARスタンプラリー「とよね村ぐるっとクイズラリー」が開催
施設内の回遊対策に有効!静岡県で行われた2つのARイベント
出典:森町体験の里 アクティ森
2019年7月20日(土)から静岡県森町の体験型施設「森町体験の里 アクティ森」にてAR×なぞきゃら×コスプレを掛け合わせた企画「ロール プレイング トリップ in モリマチ(略称:RPT)」を開始しています。
RPTは森に棲むなぞきゃら「コモコモ」を探し、友達になるというイベントです。敷地内各所に設置されたARマーカーにスマホアプリをかざすと、コモコモと友達になることができます。 友達になったコモコモの数に応じて、遊者のメダル(木製コースター)や、紙製コースターや煎茶パックなどがもらえます。
森町ではシティプロモーション事業の一環として、「新たな魅力創出発信事業」プロジェクトを設立。交流人口の拡大に向け、県内や首都圏などの30代~50代のファミリー層を呼び込み、施設の集客増と同町の認知度向上を目指すとしています。
ARGO:静岡県森町にある体験型施設「森町体験の里 アクティ森」でスマホスタンプラリーに参加してきた
出典:浜名湖パルパル
同じく静岡県浜松市にある遊園地「浜名湖パルパル」では、2019年7月20日(土)~2019年9月1日(日)までの間、ARスタンプラリー「パルパルファミリーを探せ!」が展開されました。
COCOARをスマホにインストールし、園内6ヶ所にあるARポスターをスキャンすると、ARスタンプをひとつ取得できます。ARスタンプをコンプリートし、インフォメーションセンターにいるスタッフに画面の提示で、プレゼントが当たる抽選に挑戦できます。
実施にあたり、坂道が多く人が訪れにくい大観覧車付近にもARポスターを設置。来場客の周遊を促す工夫をしました。同企画を体験した参加者からは「楽しかった」と好評で、今後は新アトラクションへの導入や大観覧車付近での利用を考えているとのこと。
ARGO:スマホで遊園地に隠れたキャラクターを探そう!静岡県浜名湖パルパルのARスタンプラリーに参加してみた
音声ARで新しい体験型観光を 和歌山県の「友ヶ島第3砲台美術館」
2019年10月3日(木)~2019年11月14日(木)まで、和歌山県友ヶ島にある要塞施設を美術館にした「友ヶ島第3砲台美術館」が開催されました。本美術館では和歌山市とエイベックス・エンタテインメントが共同開発した音声ARアプリ「友ヶ島」(iOS/Android)を活用しています。島内の全11ヶ所にビーコン※1が設置されており、アプリを起動しつつ展示室へ入ると、参加者の位置情報を把握し、音声が自動的に流れる仕組みになっています。解説のみならず、画面には当時の様子を紹介する資料も流れるとのこと。
※1…Bluetooth信号を発信し、端末の位置を知らせる発信機。
音声ARを聴きながらアート作品を鑑賞することで、まるで物語を探索しているような感覚を味わえます。美術館閉園後の現在は、場所によってさまざまにアレンジされた童歌が聞こえる常設展のほか、島内の戦争遺構の解説ガイドを聴くことができます。
有名アニメ映画の風景と似ていることで人気の友ヶ島ですが、一方でリピーターづくりや新規ファンの獲得が課題でした。そこで既存の観光施設に付加価値をつけられる音声ARを導入し、新しい体験価値の提供を試みています。
ARGO:ARアプリで島が丸ごと美術館に!?和歌山市に「友ヶ島第3砲台美術館」が開館
【常設展】
観光地の魅力を引き出す!地域の特色を生かした岐阜・愛知のAR観光アプリ
出典:岐阜ARナビ
岐阜県岐阜市はNTT西日本岐阜支店と連携し、スマートフォンなどモバイル端末で利用できるアプリ「岐阜ARナビ」(アプリ開発・協力:ナカシャクリエイティブ株式会社)を配信しています。
出典:岐阜ARナビ
「岐阜ARナビ」は岐阜城でのWi-Fi「Gifu-City Free Wi-Fi」提供を記念して開発されました。本取り組みは両社が2015年6月17日(土)に締結した「岐阜市と西日本電信電話株式会社との公衆無線LANの整備に向けた包括連携協定」に基づくものです。
岐阜城周辺(半径約500m以内:山頂および山腹付近)で、ぎふ長良川鵜飼マスコットキャラクター「うーたん」とARフォトフレームで写真が撮れる機能や、市内の見どころを検索できるナビ機能が搭載されています。ナビにもARが採用されており、画面上で現在地から目的地までの位置や距離を確認できるとのこと。また「記念撮影ポイント」をタップすると、観光地の詳細テキストが見られます。
出典:安城市 安城ARナビ
「岐阜ARアプリ」のほか、ナカシャクリエイティブ株式会社が開発したアプリには、愛知県安城市の「安城ARナビ」(iOS/Android)などもあります。愛知県安城市にある観光名所を巡るためのナビゲーションアプリで、ARを使った機能としては、安城市の見どころをめぐる「コース」機能や、現在地から観光地のルートを案内する「ナビ」、来訪記念の写真が撮れるARフォトフレームなど多彩な機能が備わっています。
このように観光アプリにARを採用することで、より観光地の魅力を引き出すことが可能です。AR機能によって、道に迷わずに目的地へ到着できるため、旅行の満足度向上も見込めます。また英語や中国で字幕が流れるARコンテンツを設定すれば、インバウンド対策も同時に行えます。
ARGO:タイトル
展示品への理解が深まる!展示にARを取り入れた「ヤマザキマザック工作機械博物館」
岐阜県美濃市にあるヤマザキマザック工作機械博物館では、ARを活用した展示や体験コーナーが展開されています。
工作機械に特化した本博物館は、産業革命から現代に至るまでの工作機械約200点が展示されています。ARを使った展示が行われているのは、工作機械が生み出した製品を展示する産業製品群コーナー。T型フォードや蒸気機関車「D51」、航空機やヘリコプター付近にあるモニターにARが搭載されており、どの部品が工作機械で作られたのかをわかりやすく説明しています。
現実世界に仮想世界を重ね合わせられるAR技術は、肉眼では見えづらい内部構造や仕組みを簡単に解説できます。そのため最近では展示物の解説ツールとして、展示会や博物館、美術館にも使用されています。
ARGO:ARで部品の使用箇所がわかる!ヤマザキマザック機械工作博物館
AR動画で県政情報をわかりやすく解説 「県政だより みえ」のAR施策
出典:三重県
三重県が発行する広報紙「県政だより みえ」では、2019年10月号から2020年3月号までの6ヶ月間、AR動画を活用した情報発信を行っています。特集記事内の「知事の、皆さんここに注目!」画像にARアプリ「フリモAR」®(iOS/Android)をかざすと、知事様のコメントを閲覧できます。そのほかにも県施設や風光明媚な場所をAR動画で紹介します。また導入開始月の2019年10月号では、AR動画視聴後にアンケート&クイズを実施。クイズに正解した人のなかから、抽選で活伊勢海老がプレゼントされる企画が行われました。
県政情報をより身近に感じてもらうべく、AR動画を取り入れたとのこと。また映像表現により、読者の理解をさらに深められます。ARマーカーの設置も省スペースで行えるため、誌面のスペースを取らずに掲載できます。
AR/VR×イベントで地域活性化!和歌山城×リアル謎解きゲーム第2弾
2019年3月16日(土)~2020年3月15日(日)の間、和歌山県和歌山市は株式会社ハレガケ、凸版印刷株式会社と協業し、和歌山城×リアル謎解きゲーム2「紀州徳川家の礎を築いた徳川頼宣の治世」を開催しました。
本イベントは、VRとGPSを組み合わせた旅行者向け観光アプリ「ストリートミュージアム®」(iOS/Android)を用いたリアル謎解きゲームです。ゲームに必要な「リアル謎解きゲーム」のキットを受け取り、アプリを頼りに謎を解いていくというもので、第1弾「築城の影に隠された起死回生の秘策」が好評を博し、今年で入国400年を迎える紀州徳川家をテーマにした第2弾が開催されました。
回遊型イベントは、チェックポイントにアプローチしたい観光施設や名所を設定できるため、ゲームを楽しみながら施設の魅力を伝えられます。またキーワードに地域の名産や名所を絡めることで、観光地の歴史や特色を知ってもらうきっかけにもつながります。
終わりに
地域別AR活用事例第3弾はいかがでしたでしょうか?
今回は観光誘致をメインにした事例をご紹介してみましたが、ARを使ったさまざまな活用事例がありましたね~(^o^)地域活性化といっても、企画内容によって多彩なアプローチがあるんだなと感じました。特に音で体験を豊かにする音声ARは目新しく、美術館や博物館での活用が期待されます。ARの持つ新しい可能性を感じたひとときでした✨