【北陸・中部編】日本全国のAR活用事例をまとめてみた②
本記事は地域ごとに最新のAR活用事例をまとめたシリーズ記事第2弾です。今回は【北陸・中部】(新潟、石川、福井、富山、長野、山梨)エリアをご紹介します。
もくじ
こんにちは!ARGO編集部のムラキです。地域別AR活用事例まとめ第2弾として【北陸・中部】の事例をお送りします。
具体的な地域としては、新潟・石川・福井・富山・長野・山梨の5つ。有名な観光地や世界遺産が数多くある同エリアにて、一体どんなAR企画が行われているのでしょうか(^^♪
それではさっそく見ていきましょう~!
【期間限定】
次世代スポーツが新潟に初上陸!
出典:HADO 新潟スタジアム
2019年7月20日(土)~9月1日(日)までの間、新潟県新潟市にある万代シテイビルボードプレイス内で、ARスポーツ「HADO」を体験できるイベント「HADO 新潟スタジアム」が期間限定で実施されました。
「HADO」とは頭にヘッドマウントディスプレー、腕にアームアンサーを装着し、AR技術でできる「エナジーボール」を相手に当てるゲームです。3対3にわかれ、チーム戦で勝利を競います。海外でも人気を博し、アメリカ・アジア主要国・スペイン・イギリスを含む世界23ヶ国で展開。2015年のサービス開始して以来、約130万人以上がプレーしています。
eスポーツが徐々に認知されているなか、テクノロジーとスポーツをかけ合わせた「テクノスポーツ」 を確立し、高い関心を集めている『HADO』。人気ARスポーツが遊べる体験施設を設けることで、店舗への集客を期待できるだけでなく、新規集客や消費促進が見込めます。
ARGO:世界最大のARスポーツ「HADO」の世界大会が開幕!
金沢工業大学×小松市、ARでクリーンセンターのごみを「見える化」
出典:金沢工業大学
金沢工業大学はAR技術を導入し、小松市エコロジーパークこまつクリーンセンターのごみ処理フローを可視化しました。地域の環境学習の付加価値を向上すべく、AR技術を使った新しい学習教材の制作を試みたとのこと。
金沢工業大学建築デザイン学科の生徒が、小松市技術監理センターや小松市クリーンセンター、川崎重工株式会社の協力を得てARアプリを制作。アプリを起動し、MRヘッドセット・HoloLens2を用いてクリーンセンターの設備を眺めると、ごみ焼却から発電に至るプロセスを閲覧できます。2020年1月17日(金)には同センターの見学スペースで、制作・報道関係者向けの閲覧会が催されました。普段天井や壁に隠れているボイラーをARで表示できるため、普段目視できない場所でもわかりやすく表示することが可能に。市は今後、見学者向けの導入を目指しています。
ARGO:金沢工業大学×小松市、クリーンセンターのごみ焼却から発電までの流れをAR化
【常設展】
ARで極楽浄土を可視化 新しい法話のあり方を探った極楽寺
新潟県小千谷市にある極楽寺は、ARで仏教の世界を具現化したデジタルコンテンツ「極楽浄土AR」を提供しています。
iPadのカメラを本堂に向けると、画面上に極楽浄土に出てくる阿弥陀如来像や彫刻などが登場。法話の「見える化」によって生まれるデジタルコミュニケーションを目的に開発されました。従来の法話は住職の話を傾聴するスタイルでしたが、視覚的な体験を味わえるAR演出が加わることで、法話で語られる世界をより深く理解することが可能です。
「極楽浄土AR」を導入したことにより、モバイル端末に慣れた若い世代がARに関心を持ち、ご年配の方が一緒に見るという姿が見られるようになったとのこと。法事をみんなでわいわいしながら楽しむスタイルへと変化したことで、幅広い世代が法事に参加するようになりました。
ARGO:新しい時代の法事?新潟県・極楽寺がタブレットを利用した新しい仏具「極楽浄土AR」を開発
迫力あるAR恐竜で街おこし!福井県の「AR恐竜王国福井」アプリ
出典:AR恐竜王国福井
恐竜の街で有名な福井県では、街おこし事業の一環として、ARスタンプラリーや撮影、恐竜の3DCGモデルが飛び出すなど、AR/VRを活用した企画を数多く実施しています。
コンテンツを楽しむには、まず最初にスマートフォン・タブレットなどのモバイル端末に『AR恐竜王国福井』をインストール。その後JR福井駅西口駅前広場に設置された恐竜モニュメント周辺の対象エリア(半径200m以内、それ以外でも一部機能が利用可能)で起動すると、ARコンテンツを再生できます。VRコンテンツもあり、「恐竜VR」では360°パノラマCGが広がり、臨場感あふれる恐竜の世界を楽しめるとのことです。
近年ARで生き物や建物を復元し、観光資源として活用する試みが全国で広がっています。ARは場所を取らずに設置できる上に、記念撮影も行えるため、観光施策と高い親和性を発揮します。
ARで展示品の文化背景をわかりやすく 金沢くらしの博物館
出典:金沢くらしの博物館
2020年1月14日(火)から金沢くらしの博物館では、AR技術を利用した常設展示が行われています。専用タブレットを用いて、館内に設置された展示品やパネルをスキャンすると、白黒写真がカラー写真として現れたり、獅子舞や加賀鳶などを収めたAR動画が閲覧できたりと、臨場感あふれるAR体験が味わえます。AR仕掛けは全部で33個。
かつて木造校舎だった「石川県第二中学校」を再活用した「金沢くらしの博物館」。同館では地元の風習や生活用具を紹介していますが、展示だけでは当時の使い方がわかりにくいものがあるため、映像コンテンツを登録できるARを取り入れたとのこと。AR活用を通して、さらなるファンの獲得を目指すとしています。
今後は専用アプリを年内に無料公開し、来館者自身のスマートフォンでも利用できる予定。金沢市はほかの文化施設でもAR導入を行うとのことで、AR技術を使ったデジタル施策を積極的に試みています。
ARGO:金沢くらしの博物館でARを活用した館内展示案内が開始
ARアプリで散策しながら楽しく城跡巡り♪「城ポジ 増山城-謙信の秘刀-」
出典:砺波市
富山県砺波市で国史跡「増山城跡」の散策を目的とした、スマートフォン向けARアプリ「城ポジ 増山城-謙信の秘刀-」(iOS/Android)を配信しています。
プレーヤーは上杉家に仕える忍者となり、主君の上杉謙信から城内にある前田家の「あるもの」を奪ってくるように命令されます。城跡内の遺構付近に設定されたアクションポイントを訪れると、遺構の説明が表示されるほか、敵とのバトルやクイズに挑戦できる仕組みです。アクションポイントは全6ヶ所。GPS機能がついているため、自分の現在地を確認しつつ城跡めぐりを行えます。
本アプリを開発した経緯として、「二の丸」(本丸)にしか人が訪れないという課題がありました。そこで回遊対策と滞在時間の増加を図れる本アプリを企画。プレーヤーは城跡めぐりをゲーム感覚で楽しめるので、来場者の満足度を高めるという効果も期待できます。
そのほかにもARを使った城巡りアプリは数多くリリースされており、江戸時代の姿を再現した松本城のVRアプリや、多言語対応可能な金沢城ARアプリなど、観光地の魅力をあますことなく伝える施策が実施されています。
ARGO:忍者になって増山城へ侵入!?富山県砺波市が散策用にARアプリ「城ポジ 増山城-謙信の秘刀」をリリース
AR動画で山梨県の魅力をアピール!駅にARマンホールを設置
山梨県甲府市は「こうふ開府500年記念事業」(2019年)のひとつに、甲府駅北口と南口にAR動画が再生されるオリジナルデザインマンホールを設置しています。AR専用アプリ「COCOAR」を使ってマンホールに描いてあるイラストを読み込むと、PR動画が再生されます。
AR動画付きのマンホールは武田信玄公イラスト、こうふ開府500年記念ロゴデザイン、戦国BASARA信玄くんデザインの3種類です。再生されるAR動画は、「こうふ開府500年記念事業のPR動画(short ver)」。マンホールのデザインごとに甲府市のそれぞれ異なるHPに飛ぶということです。
山梨県甲府市は、2019年に武田信玄の父・虎公がつつじが崎に館を構えた1519年から数えて500年という歴史的な節目を迎えました。そこで「こうふ開府500年記念事業」を実施し、先人から受け継いだ歴史や文化を継承するとともに、新たな甲府のまちづくりにつなげていくとしています。
ARGO:こうふ開府500年記念事業。AR動画やパノラマ画像で甲府の歴史を学ぼう。
終わりに
第2弾まとめ記事はいかがでしたでしょうか?(ㆁωㆁ*)市や大学と連携したAR企画が多かったのが印象的でしたね。なかでも阿弥陀如来像や龍が現れる「極楽浄土AR」は衝撃でした。ARを通して、令和にふさわしい法話スタイルを確立したのは素晴らしく、今後の法事の在り方を変えるひとつの契機になるのではないかと感じました。また恐竜や博物館、城跡めぐりなどの事例も地域活性化企画として、優れた活用方法だと思います。
【北陸・中部】エリアでは上記以外にもさまざまなAR企画が開かれており、浸水被害を疑似体験できる出前教室の実施やTVアニメの作品舞台をめぐるARスタンプラリー、長野県とKDDIがドローン・5Gを組み合わせた協定を結んだりと、AR/VRや5Gなどの最新テクノロジーを取り入れた企画・システムを数多く行っています。