【AR×ファッション】アパレル業界の悩みを解決するAR活用事例11選
本記事ではファッションにARを導入した事例についてご紹介します。ARを取り入れることで、返品率の改善や顧客体験の向上、商品の認知度向上アップなどさまざまな施策を打つことが可能です。
もくじ
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【ECサイト施策】
- 1.苺りなはむがARで出現!STYLYとファッションブランド「三六九東京(ミロクトーキョー)」がコラボ
- 2.新作アイテムのAR化やバーチャル展示会…AR施策を積極的に取り入れるユニセックスレーベル「HATRA(ハトラ)」
- 3.時計を“視”着できるサービスが人気 高級腕時計レンタルKARITOKEのAR施策
- 4.購入前にARでサイズ感を確認 レザー製品ブランド「objcts.io(オブジェクツアイオー)」の新たな試み
- 5.MESON、ARショッピング「PORTAL with Nreal」を出展 新たなオンラインショッピング体験がテーマ
【店舗施策】
- 6.H&M×スター・ウォーズ、ARでオリジナルTシャツを制作できるイベントを開催
- 7.ARギミックでブランドの世界観を表現 来店客のCX(顧客体験価値)を高める「HIPANDA」
- 8.鏡の前に立つだけで試着可能!?3D仮想試着システム「FXMirror」
【SNS施策】
こんにちは!ARGO編集部のムラキです。
今回はAR×ファッションの活用事例11選をお届けします。「洋服にAR?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、ARの活用方法は大きく分けて3つあります。
- 1.ECサイトでの活用→3DCGモデルを利用した質感・サイズの確認や、AR試着によるイメージ違いの解消・返品率の改善
- 2.店舗における活用→AR装飾によってブランドの世界観の表現。顧客体験の向上
- 3.SNSの活用→SNSプロモーションを通して、商品の認知度向上や話題性の獲得
このようにARを取り入れることで、課題解決や商品PRなどさまざまな施策を打つことができます。本記事では【ECサイト施策】、【店舗施策】、【SNS施策】の分野について、活用場面ごとにご紹介いたします。
【ECサイト施策】
1.苺りなはむがARで出現!STYLYとファッションブランド「三六九東京(ミロクトーキョー)」がコラボ
ARアプリ「STYLY Mobile」とファッションブランド「三六九東京(ミロクトーキョー)」のコラボが2020年4月14日(火)に発表されました。公式HPでは、同ブランドをプロデュースする女性アイドルグループ「CY8ER」・苺りなはむさんの3DモデルをARで閲覧することができます。
ARを体験するには、ARアプリ「STYLY Mobile」をスマホにインストール後、公式サイトへアクセス。サイト内にある「AR VIEW」ボタンをタップすると、「三六九東京」のハイネックジップパーカーを着用した苺りなはむさんの3Dモデルが現れます。なお、このアイテムはCY8ERのアー写、メジャー1stアルバムジャケットや、MVの衣装に起用されているとのこと。
また公式ショップ内で「QRカード付き」と記載のあるアイテム(全5点)を購入すると、その服を着用した苺りはなむ氏の3Dモデルを閲覧できます。
ARGO:衣装起用された服を3Dルックで楽しめる!「三六東京(ミロクトーキョー)」と「STYLY」のコラボレーション企画
2.新作アイテムのAR化やバーチャル展示会…AR施策を積極的に取り入れるユニセックスレーベル「HATRA(ハトラ)」
ARアプリ「STYLY Mobile」はファッションブランドの「HATRA」とコラボし、新作アイテムを3D化したことを発表しました。
スマホにARアプリ「STYLY Mobile」をインストールし、同社のオンラインストア「HATRA E STORE」の新作ページにある「AR VIEW」をタップすると、HATRAのロゴとともに新作Tシャツが画面上に現れ、360度さまざまな角度から見ることができます。
HATRAはデザイナー長見佳祐氏により2010年に立ち上げられた、ユニセックスウェアレーベル。フードウェアを中心に、「部屋」のように居心地を外に持ち出せるポータブルな空間としての衣服を提案しています。
HATRAはAR/VR施策を積極的に取り入れており、2020年4月にはバーチャル展示会を期間限定で開催。「STYLY Mobile」アプリを起動すると、画面に一部のアイテムの3Dモデルが現れ、自宅にいながら最新アイテムを鑑賞できる体験を提供しました。
新型コロナウイルス感染症の影響により、2020-21年秋冬コレクション展示会が中止になったことを受け、オンラインの受注サービスへと切り替えたとのことです。
従来はリアル店舗へ行き、洋服の質感やディテールをチェックするのが主流でしたが、ARと3DCGモデルを組み合わせることで、自宅にいながら洋服のルックや細部のデザインまで確認することができます。またAR空間は質感だけでなく、ブランドの世界観もあわせて表現することが可能です。特にバーチャル展覧会はコロナ禍におけるリアルイベントの代替策として注目を集めています。
ARGO:ARアプリ「STYLY」×ファッションブランドの「HATRA」がコラボ
3.時計を“視”着できるサービスが人気 高級腕時計レンタルKARITOKEのAR施策
レンタルウォッチサービス「KARITOKE(カリトケ)」は、新宿マルイ本館8Fのオープンを記念し、時計を“視”着できるARサービスを開始しています。
本ARサービスを利用するには、ARマーカーとなる腕時計型の専用メジャーが必要です。専用メジャーは各店舗(新宿マルイ本館、有楽町マルイ、なんばマルイ)で受け取れるほか、レンタル時に商品と同梱して取得することもできます。
専用メジャーを腕に着用後、公式サイトの商品一覧から試着したい腕時計を選び、商品画像の下にある「ARで試着する」ボタンをタップ。その後ARアプリ「scale post viewer AR」を起動して、専用メジャーの円盤部分を読み込むと、画面にAR腕時計が現れ、実際のサイズ感や着用イメージを確認することが可能です。
腕時計×ARの事例は増えており、同社以外にもCITIZENがAR試着サービスを過去に行っています。自宅やカフェで気軽にCITIZENの時計を体感してもらい、店舗へ訪れるきっかけを作るために実施したとのこと。このようにAR試着サービスを行うことで、商品を知るきっかけにもつながり、利用者への訴求効果を高めることができます。
ARGO:ARでブランド時計を"視"着できる?!「KARITOKE・AR」がリリース
4.購入前にARでサイズ感を確認 レザー製品ブランド「objcts.io(オブジェクツアイオー)」の新たな試み
レザー製品ブランド「objcts.io(オブジェクツアイオー)」は、自宅で定番バックパックおよびスマートトートを体験できるAR Showroomingサービスを実施しています。
AR Showroomingとは、ECプラットフォーム「Shopify」のAR機能を活用し、ARでObjects.ioの商品を確認できるサービスです。対象商品は2商品で、同社のオンラインショッピングサイトへアクセスし、[ARで見る]をタップすると画面に3Dモデルが出現。自宅にいながら全体像やサイズ感を把握することができます。ARプレビューは、iOS 12以降のSafari、またはARCoreに対応したAndroidで利用可能です。
Objects.ioをはじめ、オンラインショッピングサイトにARを採用する事例が増えてきています。同様の事例としてはメンズファッションブランド「TAYLOR STITCH(テイラー スティッチ)」などが挙げられます。
ECサイトの課題のひとつに、サイズ・イメージ違いによる返品率の高さがあります。色味やサイズを直接確認できないことから生じる問題ですが、ARを採用することで自宅にいながら商品を実物大で表示したり、好きな角度から見ることが可能になるため、返品率の抑制につながります。
ARGO:ARで「Objects.io」の商品を確認できる!「AR Showrooming」
ARGO:ネットショッピングはARが主流に?メンズブランド「TAYLOR STITCH」が商品の3D表示を実現
5.MESON、ARショッピング「PORTAL with Nreal」を出展 新たなオンラインショッピング体験がテーマ
株式会社MESONは、2020年1月に世界最大級の家電・技術見本市「CES2020」にて、ARグラス「Nreal Light」を用いたARショッピング体験会「PORTAL with Nreal」を行いました。
「PORTAL with Nreal」とは、「Nreal Light」を着用することで自分の部屋をファッションブランド空間へ変え、買い物やブランドの世界観を体験できるサービスです。ユーザーは自分の好きな場所にファッションモデルを配置して鑑賞したり、気に入った洋服を購入することが可能。またAR装飾により、ブランドが表現した没入的空間を楽しめます。
2019年8月には、GINZA SIXと東京ミッドタウンにおいて、日本初のARファッションショー「PORTAL BY JOSEPH」を開催。ロンドン発のファッションブランド・JOSEPHとコラボし、従来のファッションショーにはない非日常的な演出を楽しみながら、新しい服やコーディネートを発見する体験を提供しています。
ARショッピングは自宅にいながらリアル店舗と同等、またはそれ以上の購買体験を味わえることから、次世代型ショッピングとして注目を集めています。ブランドに即したAR演出や装飾を行うことで、洋服を単に販売するだけでなく、ブランドの世界観を楽しむというエンターテイメント性を持たせられるのが特徴です。店舗をエンタメ化することにより、来店客の増加や同業店舗との差別化を図ることができます。
ARGO:日本初のARファッションショー!株式会社MESON開発のPORTALで店舗でランウェイが見れる
6.H&M×スター・ウォーズ、ARでオリジナルTシャツを制作できるイベントを開催
ファストファッションブランドH&Mは、ARで『スター・ウォーズ』のデザインTシャツを制作できるイベントを開催しました。
本イベントは『スター・ウォーズ・サーガ』の新作映画公開を記念して、H&M原宿店にて行われました。MRグラス「Magic Leap」を着用すると、画面にスターウォーズのデザインが出現。「銀河帝国軍」と「反乱同盟軍」の2つのテーマから約20種類のプリントやロゴを選択し、自分好みのデザインを作ることが可能です。作成したデザインデータはプリンターに送られ、ケミカルフリーのインクジェットによりその場で印刷されます。
本取り組みは没入型のAR体験を提供することで、実店舗での顧客体験の向上を図るために行われました。また同社が取り組むサステナブル施策※1という側面もあり、個々のカスタマーニーズを把握することで、衣服の過剰生産の解消につなげるとのこと。本プロジェクトは今後も継続的に実施される見通しで、ギフト需要が高まるクリスマスやバレンタインイベントでの実用化を目指すとしています。
※1…地球の自然環境の維持に役立つ事業や開発、自然環境に配慮した行動のこと。サステナブルは「人間・社会・地球環境の持続可能な発展」という意味。
7.ARギミックでブランドの世界観を表現 来店客のCX(顧客体験価値)を高める「HIPANDA」
2019年4月に中国の人気ファッションブランド『HIPANDA(ハイパンダ)』の旗艦店が表参道にオープン。店内にはブランドの世界観をより体感できるARギミックが仕掛けられています。
ARギミックは複数あり、たとえば店頭に描かれているHIPANDAに同社が提供している専用アプリをかざすと、画面に球体状の「HIPAMDA AR」が出現します。店内ではフロアを駆け抜けるHIPANDAの姿や、アイテムの周りに無数のHIPANDAが飛び出る演出などを楽しめます。
ショップの内装デザインや総合プロデュースを手掛けたインテリアデザイナー、グエナエル・ニコラ氏によると、店舗のコンセプトを「お化け屋敷であり、パンダ屋敷でもあるもの」にしたとのこと。店内にARギミックを組み込むことで、リアル店舗にエンターテイメント性を持たせられるほか、店内を隅々まで見てもらうことができるため、滞在時間の増加や顧客の満足度向上につながります。
ARGO:中国人気ブランド「HIPANDA」が日本上陸!ARで店舗コンセプトの世界観を楽しもう
8.鏡の前に立つだけで試着可能!?3D仮想試着システム「FXMirror」
渋谷PARCOにある次世代型セレクトショップ「calif(カリフ)」では、店舗初の3Dバーチャルフィッティング「FXMirror」を導入しています。
FXMirrorとは、洋服を試着せずに着用イメージを確認できるバーチャルフィッティングミラーです。ミラー内でアイテムを選択すると、瞬時にそのアイテムを着た自分の姿が写ります。また顧客のアバターを3Dで作成することも可能。より顧客の雰囲気・体型に合わせた試着を行えます。
FXMirrorを利用することで、予約商品やネット限定商品、在庫切れなどで商品に在庫がない場合でも試着できるほか、試着した画像をQRコードで携帯へ送り、自社アプリで着せ替えできる機能も備えているとのこと。アバターは子ども用も作成できるため、試着を嫌がる子どもにも有効です。
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9.AR KIKOちゃんフィギュアで遊ぼう!ワコールのリボンブラ販売10周年企画
株式会社ワコールが女性用下着『朝の谷間、ながもち、リボンブラ。』の販売10周年を記念し、ウェブAR「AR KIKOちゃんフィギュア」を配信しています。
「AR KIKOちゃんフィギュア」の遊び方は、スマートフォンで特設サイトまたはサイト内にあるQRコードをスキャンするだけ。5種類の『リボンブラ』の新商品のひとつを選ぶと、選んだ『リボンブラ』を着用した水原希子さん(KIKOちゃん)のARフィギュアが現れます。ARフィギュアはさまざまな角度から閲覧できたり、一緒に写真を撮ることも可能です。
ファッション×ARキャンペーン施策のひとつとして、ARフィギュアやアバターを作り、自宅などで写真撮影や動画を楽しむ企画が流行っています。ARフィギュアは360度さまざまな角度から閲覧できるため、洋服の質感やデザインを細部までチェックできるほか、利用者によるSNSへの投稿でキャンペーンの拡散を狙えます。
ARGO:水原希子がARフィギュアに変身!ワコールの新商品『リボンブラ』発売記念企画
10.着せかえ人形のように洋服を試着できる アパレルEC「Chiquelle(シレーケ)」のARアプリ
スウェーデンのアパレルブランド「CHIQUELLE(シケーレ)」は、アプリで自分のアバターを作成し、同ブランドのアイテムをバーチャルフィッテングできるARアプリ「Chiquelle Style AR」を配信しています。
本アプリでは自身の身長や体重、サイズや体型などを細かく設定し、自分にそっくりのアバターを作ることができます。アバターには同ブランドのアイテムを着せることができ、気に入ったアイテムがあればその場で購入することも可能です。
またコーディネートした服やアイテムをオリジナルクローゼットに保存し、友人同士でシェアしたり、フィードバックを受け取れる機能やARモードでさまざまな場所でアバターを撮影できるなど、試着以外にも楽しめる要素を取り入れています。
さきほどご紹介した「FXMirror」の事例をはじめ、人物をアバター化し、洋服を実際に試着することなく購入する事例が広がりつつあります。またアプリ化することで、洋服のトータルコーディネートの提案や顧客の囲い込みという、ネットショッピングでは難しいとされる提案も実現でき、売上向上も見込めます。
11.自宅で「めがねフェス」を楽しもう!ユニークなARフィルターを配信中
一般社団法人福井県眼鏡協会は、自宅で「めがねフェス」を楽しめるARフィルターを配信しています。
出典:めがねフェス2020
ARフィルターはめがねフェスの公式Instagram・Facebookにて体験できます。Instagramで体験する場合は、スマートフォンから公式アカウントを開き、中央にある顔アイコンをタップ。4種類のARフィルター画像の中から好きなものを選択し、画面左下にある「試す」ボタンを押すと、選択したARフィルターが現れます。カメラを切り替えて自撮りや友人と一緒に写真が撮れるほか、撮影ボタンの長押しで動画撮影も可能とのこと。
本取り組みは新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020年6月に開催を予定していた「めがねフェス2020」の中止に伴い実施されました。ARフィルターの配信以外にも自宅でペーパークラフトメガネを作れる「おうちでつくろう。めがねフェスめがね」や、めがねへの想いを続いた「めがねよ、ありがとう作文」などさまざまな企画を開催中です。
そのほかのメガネ×ARの活用事例として、JINS渋谷パルコ店の「MEGANE on MEGANE(メガネオンメガネ )」が挙げられます。AR技術を用いてメガネをかけたまま店頭のメガネを試着できるという画期的なサービスで、これまでメガネ着用者の最大の悩みであった「メガネを試着した際、周囲がよく見えない」という課題を解決しています。
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ARGO:最新デジタルテクノロジーが集結!渋谷PARCOで活用されているAR/VRをまとめてみた
まとめ
ファッションにARを取り入れることで、洋服の試着から店舗・ブランドの世界観の表現、さらにはSNSプロモーションまでおこなえたりと多様なPR施策が展開できます。特に商品の3D化やバーチャルフィッティングは、自宅にいながら洋服の試着やサイズ感を確認できるため、コロナの感染リスクを抑えつつ、顧客が商品を購入することが可能になります。
コロナ禍の影響によりオンラインショッピングが増加し、オンライン化に力を入れるアパレル企業は増えてきています。with コロナ時代に即したデジタル施策のひとつとして、ぜひAR施策を取り入れてみてはいかがでしょうか。